SNSでシェアされている投稿を見て、思わずその美しさに息をのみました。そこに映るのは、いつまでも浮かび続ける魔法をかけられた「しゃぼん玉」のような風鈴。うすい虹色の光をたたえて輝く様子に、まだ夏の日差しが、きらきらしていたころの記憶を思い返してしまいました。…はっ!いけないいけない。でも、見つめているだけで、遠い夏の日まで気持ちを連れていってしまうこの物体、興味が尽きません…。
菅原工芸硝子が製造・販売している「虹色風鈴」。千葉県の九十九里浜の近くに工場を持つ同社は、「SGHR(スガハラ)」というブランド名で、手作りのグラス、食器、インテリアなどの各種ガラス製品を製造・販売しています。最近では、ビールを注ぐことにより、泡の部分が雪のように見えるビールグラス「富士山グラス」などでも知られています。
「虹色風鈴」は2012年に発売開始。「富士山グラス」でコラボレーションしたプロダクトデザイナー・鈴木啓太氏から『しゃぼん玉のような風鈴を作りたい』というアイデアが寄せられたのをきっかけに作ったといいます。イミテーションの真珠につかう塗料をガラスに焼き付けることで、虹色の輝きを実現するなど、特殊かつ繊細な加工が施されています。
暑さが本格化するにしたがい、涼やかで美しい造形がSNSなどでも話題に。「この風鈴が似合うような暮らしを送れるようになりたい」といったつぶやきを投稿する人もいて、大変共感を集めていました。
話題を集める風鈴について、広報担当者に聞きました。
―触ったら消えてしまいそうな美しさです。
「夏向けの商品なので、毎年期間限定で販売しています。これまでには、音が良く鳴るように、吹き方、仕上げ方をブラッシュアップしてきたほか、リボンについてもなるべく余計な存在感が出ないように改良してきました」
―今年の製品の特色などは特にありますか。
「風鈴専用のウッドフレームを新たに発表、セットでお買い求めいただけるようにしました。一軒家で軒先があるようなお宅であればいいのですが、都心だったりマンションにお住まいだったりすると外につるす場所がない、という声も多くいただいてきました。お部屋の中でも、窓や扉を開けた時や、エアコンや扇風機の風が当たる場所などで、涼やかな音色や揺れる姿を楽しんでいただけるようにと、新たにデザインしました」