流通アナリストの渡辺広明氏が「ビジネスパーソンの視点」から発信する「最新流通論」。今回のテーマは「クリスマスケーキ」。コンビニのケーキ事情について、製造が本格化する12月初めのタイミングで解説した。
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小5だった次男から「サンタクロースってお父さんなんでしょ」と言われて、僕のクリスマスの楽しみは昨年終わりました。一説では約7000億円と言われるクリスマス市場もここ20年で3割近く縮小しているようです。
ファミリーはもとより若者減少でバブルの時期の「クリスマスの赤坂プリンスは1年前に予約」などという恋愛狂騒も建物と共に過去の遺物となりつつあります。
実は12月初旬のこの時期は、小売や洋菓子チェーンで販売されるクリスマスケーキの製造ラッシュなんです。主力商品以外のラインナップが製造され急速冷凍でクリスマス当日まで保管されるんです。
一方、メインの商品は、22日と23日の2日間で集中的に生産されるため、工場は年間で最も忙しい日となります。
僕もバイヤー時代、工場のソファをお借りして泊まり込んで品質チェックをしていました。ケーキのチェックというより、別付けするいちごを確認するんです。予約カタログといちごの大きさが違うというクレームが最も多いからです。
いちごは年によって生育状況が違うため、仕分けラインに入らせて頂いてお手伝いし、自分のチェーンの製造の時になるべく良いいちごが確保できるようにするためです。全国的に生育が悪い時は結局クレームを覚悟するしか無いんですが…。そんな経験もあり、この時期になるといちごが順調に生育されてるかなと未だに気になります。
食品ロスの問題もあり、ファミリーマートではクリスマスケーキは店頭販売を基本辞め、今年から予約販売のみとなります。土用の丑でも予約のみとし、売上が2割減ったものの利益が約7割増えたことを受けての施策です。
コンビニの店頭で女子高生アルバイトがサンタクロースの格好をしてクリスマスケーキを販売するそんな光景が見られなくなってくると思うと寂しさもありますが、食品ロス削減を考えたら「クリスマスケーキは予約しましょう!」となります。