コンビニの食品ロス問題「もったいない」の狭間で

渡辺 広明 渡辺 広明

 流通アナリストの渡辺広明氏が「ビジネスパーソンの視点」から発信する「最新流通論」。今回のテーマは「食品ロス問題」。いつでも欲しい商品が買える、裏返せば品切れNGという、コンビニエンスストアの〝宿命〟に切り込んだ。

「機会ロスは顧客への裏切り」発想からの転換

 コンビニ店員になった時、賞味期限切れの〝弁当をゴミ袋に捨てる〟や〝紙パックの牛乳などをシンクに流す〟といった行為が、勤務を始めて1週間程度で「もったいない」という意識が薄れ、お客さまのために正しい行為だと疑うことなく仕事をしていました。

 コンビニでは、各店で毎日10〜15キロ程度の売れ残り食品の廃棄が出ています。

 セブンイレブンの鈴木敏文元会長による「機会ロス(品切れ)は顧客への裏切り」という考えが、コンビニ業界の思考スタンダードで疑う余地がなかったのです。

 それを実行すると、どうしても廃棄が出てしまう。鮮度の良い持ち帰り食品を実現するために、機会ロスと廃棄ロスを両方ともなくすことは限りなく困難です。

 そんな顧客のニーズに応えて進化してきたコンビニも、いよいよ社会的課題にも変化対応しなければならない時代となりました。

 コンビニ各社は、廃棄間近の商品を買うとポイント還元をする施策を年末から本格スタートの予定です。

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