日本初・コオロギの「昆虫食レトルト」ほか、ワニ、ラクダ…世界平和を願う「珍食シリーズ」を実際に食べてみた

沢田 眉香子 沢田 眉香子

 カラフルな手描きのイラストが目を引く、手作り感満載パッケージのレトルト食品を発見。世界のエスニック料理のようだがメニュー名が「スクマイキ」(ケニア)、「ハリラスープ」(モロッコ)、「ムアンバ」(ガボン)と、全然わかりません! このほか、ピラルク、羊の脳みそ、コオロギ、赤耳亀、ラクダなどは「珍食材シリーズ」とな!

 こちらを見つけたのは、「国立民族学博物館」(大阪府吹田市)のミュージアムショップ。これはまさに、食べる「民族学博物館」ではないか?

 さっそく「ピラルクのココナッツ煮込み」と、「イタリア風コオロギのトマトカレー」を食べてみた。

 ピラルクは水族館でおなじみの、体長2〜3メートルもある世界最大の淡水魚。ブラジル・バイーア地方の「ムケッカ」というまろやかな料理に仕上げてある。ちなみに魚は水族館のものではなく、ブラジルの養殖ピラルクを使用しているそう(あたりまえか)。身は柔らかく繊細で、和食でもいけそう。

 そしてイタリア風コオロギのトマトカレー。これはさすがに、おっかなびっくり。体長1センチほどのコオロギさんたちがカレーにプカプカ浮かんでいる。“昆虫感”がハンパない脚部分は乾燥して縮んでいるので、見た目の抵抗感は薄めかも。そして、そのお味は…、干しエビを思わせるクリスピーな食感と香ばしさ。サラダのトッピングにいいかも?

 ちなみにこのコオロギカレーは、「昆虫資源研究所」(兵庫県佐用郡)とのコラボで実現した、日本初のレトルト昆虫食。昆虫は高品質のタンパク質、ビタミン、アミノ酸を含むスーパーフードで、環境負荷も少ないとあって地球の食料問題の解決の糸口になると注目の食材。食べずぎらいでは、ゆくゆく地球のために良くない。このカレーでぜひ、昆虫食デビューをオススメしたい。今後の昆虫ラインアップとしては、ブルキナファソのシアワームという幼虫のカレー、サバクトビバッタカレーも登場の予定だとか。いやいや〜、攻めてますねえ。

 この「世界のごちそうシリーズ」を手がけるのは、神戸在住の本山尚義さん。世界30カ国を旅しながら料理修業し、『世界のごちそう 旅×レシピ』という著書もあるシェフだ。現地におもむき足で稼いだ世界のレシピを一人で調理し、50品を数えるレトルト食品を販売。ギネスに申請しても良さそうな勢いだが、そのきっかけは「世界の料理を食べることは、その国の歴史や文化、社会問題などを知るきっかけになる。料理で世界平和に貢献をしたい」という真摯な思いからだった。

 最初に発売したレトルト食品は、アメリカ南部のオクラ料理、ガンボ。「オクラは原産地がアフリカ。奴隷と一緒に持ち込まれ、現地の食材やスパイスと出会い、ガンボという料理が誕生しました。このひと皿から、料理で世界の問題を伝えることができると感じました」。さらに踏み込んで、問題を抱える国にちなんだ「食べて知る難民問題、飢餓問題、差別問題」シリーズも展開しているが、「題字をストレートに書きすぎて」販売店がドン引き、ということも。メッセージの熱さとさじ加減は、なかなか難しい。ちなみにどの料理も、味付けは現地仕様ではなく、食べやすくアレンジしてある。世界から学んだ味と平和へのメッセージを大人にも子どもにもおいしく伝えるのが、本山さんだけのレシピだ。

 レトルト食品「世界のごちそうシリーズ」は公式サイト「世界のごちそう博物館」でも販売されている。メッセージもてんこ盛りのにぎやかなサイトで、めくるめくごちそう世界を堪能して欲しい。また、イベント出演も精力的におこなう本山さん。12月には全国各地で予定されている。

「世界のごちそう博物館」 https://www.palermo.jp/

12月5〜6日 「素材博覧会KOBE2019」で世界のごちそうカレー2種合いがけ販売 http://www.bead-art-show.com/kobe19/

12月7日 「世界のおつまみレシピ本出版記念東京ゲリーラ」開催 https://www.facebook.com/events/563307511139526/

12月21日 「辰巳茶房」(神戸市東灘区)にて料理イベント  http://www.tatsumi-sabou.com/

12月22日 「枚方T-site 蔦屋書店」(大阪府枚方市)にてトークイベント https://store.tsite.jp/hirakata/event/

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