それから20年ほど過ぎ、結婚して娘が生まれると再び自宅近くの公園を訪れるようになりましたが、相次ぐ遊具の事故の影響か遊具はほとんどなく、籾山さんは落ち葉や枯れ木を使った家づくりなど「道具がなくても創れる遊び」を考え、娘と遊んでいたそうです。
実際、国土交通省の公園利用実態調査では、住宅街にある0.25㏊以下の「街区公園」と2㏊以下の「近隣公園」の平均利用者の年齢構成は、少子高齢化の影響もあり65歳以上の高齢者の割合が急増。利用者数全体もこの40年ほどで半分以下に減っています。また同省が2015年に行った遊具の安全性に関する調査では、全般的に遊具の老朽化が進み、回転塔など撤去が進む半面、新設は全世代型の健康器具などが目立っています。
さらに、街区公園などの管理を担う自治会にも心労は尽きません。籾山さん自身も実家の自治会の手伝いをしているそうですが、新住民から地域で長く続く盆踊りの太鼓の音が「うるさい」と言われたり、「かき氷は子どもがお腹を壊す」と苦情が出たりし、中止や変更を検討せざるを得なくなっているとも。「町や子どもたちのことではなく、自分の住環境にしか興味がない人が増えたような…。自治会にも参加せず文句だけ言う『お客様住人』も少なくないのでは」と籾山さん。今回ツイートが話題になったことについて「本来の意図は別でしたが、多くの方に考えるきっかけを提供できたとすれば、うれしいです」と話します。
「遊び」は創造力や体力づくりの原点のはず。大人も子どもも、もっと伸び伸びと気兼ねなく「遊べる」環境が欲しいと思うのは、贅沢なことなのでしょうか。