ジーンズ離れで「アスレジャー」がブームに…「抜け感」重視のボトムスに変化

大西 昭彦 大西 昭彦

ジーンズを着なくなった--。そう思っている人は少なくないだろう。街でもボトムスがジーンズという人はたしかに減った。男子学生にとっては定番のアイテムだったが、大学のキャンパスでもジーンズ派はむしろ少数だ。ジーンズ離れは、国内のジーンズ量販店の売り上げを直撃している。

苦戦するジーンズ量販店 

マックハウスは2019年2月期の売上高を280億900万円としている。10年前の2009年2月期の566億5000万円と比べると50.6%減だ。ジーンズメイトは2019年3月期の売上高が85億7900万円、同じく2009年2月期185億8800万円と比べて53.9%減。ライトオンは2019年8月期の売上高が739億6000万円で、2009年8月期の1006億600万円と比べ26.5%減となっている。国内大手の苦戦がうかがえる。

たしかにここ20年ほどで、ボトムスの多様化が進んだ。神戸のアパレルメーカーで制作部門にいた女性(54)は、「とくにリーマンショックで不況が襲ったころから、ジーンズ離れが加速した」と話す。2008年秋以降のことだ。

そのあおりをうけて、2012年6月にボブソンが倒産、同年8月にはエドウィンの経営危機が表面化する。翌2013年になると国産ジーンズのパイオニアであるビッグジョンが官民ファンドの支援をうけることになった。ボブソンはピーク時の1993年1月期の売上高が182億円だったが、2013年1月期には25億円にまで縮小していた。

もとはアメリカの学生寮から

ナショナルブランドのジーンズを、1万円以上の値段で若い世代が買い求めた時代はすぎた。SPA企業が登場し、低価格のプライベートブランドにとってかわられた。前出の大手ジーンズ量販店各社も、かつてはロードサイド店を多数出店していたが、いまでは不採算店を整理し、ショッピングモールへの出店へと戦略を転換しつつある。

売れ筋もジャージ素材イージーパンツへとボトムスの流れが変わっている。スポーツウェアのブームは世界中に広がり、アスレチック(athletics)とレジャー(leisure)を組みあわせた「アスレジャー(athleisure)」という造語も生まれた。軽やかで嫌みのない「抜け感」が時代の空気だ。もとをたどれば米国のニューヨークや西海岸で暮らす学生たちの「ドームスタイル」にいきつくという。ドーム(dorm)とは、学生寮(dormitory)の略だ。

要は、部屋着になっていたジャージ素材のスポーツウェアなどをコジャレタ感じにアレンジして街着にしたわけである。そのためファッション関係者のあいだでは、アスレジャーに眉をしかめる人たちも少なくない。日本的な起源からすれば、ヤンキースタイルの変化形というふうにも見える。

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