メディアではまったくと言っていいほど取り上げられていないが、大阪を中心とする関西地区で、ここへ来てビジネスホテル級に区分されるホテル間で宿泊料金のダンピング合戦がボッ発しているのだという。
こう言うとインバウンド(外国人観光客)景気に涌(わ)いているはずの関西地区でなぜ、と不思議に思う方も多いことと思う。
確かに、昨年2018年に3000万人の大台を突破した訪日外国人数は、今年に入っても昨年の実績を上回るペースで推移していると言っていい。
にもかかわらず、なぜ、宿泊料金はここ最近、値下がり傾向にあるのだろうか。
その理由を一言で言ってしまえば、オーバーキャパシティー(供給過多)状態に陥ってしまったのだ。要は、ホテルを作り過ぎてしまった、ということに他ならない。結果、ホテルの稼動率が落ち、それをカバーするために宿泊料金の引き下げが行われたのだ。
このためラグビーのW杯開催期間中も、多数の外国人観戦客が来日したにもかかわらず、ホテル不足に陥ることはなかった。
こう見ていくと、一時は日本経済の救世主的な扱いを受けてきたインバウンド需要も、転換点を迎えつつあるようだ。かつてはインバウンドの代名詞となっていた観のある“爆買い”も影をひそめつつあるのが実情だ。しかし、だからと言って、インバウンドが金を落とさなくなったわけではない。そのニーズが変化しつつあると見るべきだろう。