おいしそうな食品スーパーのお惣菜…知りたくなかったバックヤードでの「残念」な作り方

平藤 清刀 平藤 清刀
鮮やかなキツネ色に仕上げるため衣にカラメル色素が使われている
鮮やかなキツネ色に仕上げるため衣にカラメル色素が使われている

スーパーの惣菜は彩が鮮やかで味も良く、食欲をそそるように工夫されている。それらの商品は、バックヤードでどのようにしてつくられているのか。惣菜売り場でアルバイトをしていたときには「つくり方を知らなきゃよかった」と思うような商品もあった。

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店内製造(インストア)の商品が多い惣菜売り場。衛生管理は大丈夫なのかという疑問の声を、お客さんから聞くことがある。衛生管理にはうるさく、日ごろの道具の手入れや洗浄はもちろん、本社の検査部から抜き打ちで衛生検査が行われることもある。包丁とまな板は肉用と野菜用に使い分けているか、食洗器の温度は規定以上に設定されているか、雑菌は繁殖してないかなど、スタッフへの聞き取りや検査キットを使って徹底的に調べる。

衛生管理に関してはまず心配ないのだが、商品のつくり方を見ていて「自分だったら、この商品は買わない」と思うことがあったので、その代表例を紹介したい。

【豆ごはん】

4月頃から旬の商品として「豆ごはん」が売り場に並ぶ。豆ごはんに使われるグリーンピースは、米と一緒に炊きこむと鮮やかさが失われて、きれいなグリーンにならない。そこでスーパーでは、独特のつくり方をする。

① ステンレスのボウルに、白ご飯を1kgとる。並行して、グリーンピースの水煮をザルにあけて水気を切っておく。
② ①のご飯に食塩を5g加えて、しゃもじでまんべんなく混ぜる。
③ 混ぜ終わったら、ご飯用のトレイに200gずつ分ける。
④ 水気を切っておいたグリーンピースの水煮を、ご飯の上に十数粒バランスよくトッピングする。

これでスーパーマーケット流「豆ごはん」が5パックできあがるというわけ。白ご飯だけ売れば198円だが、「豆ごはん」にすれば250円になっている。

【ほうれん草のごま和え】

バックヤードで、生のほうれん草をボイルすることはない。

① 1kgずつ冷凍された業務用のボイル済ほうれん草を水道水で流水解凍する。
② 解凍できたら、両手でギュッと絞る。
③ 粉末の「ごま和えの素」(業務用)をまんべんなく混ぜ込む。
④ 120gずつパック詰めする。

工場でボイル・冷凍⇒バックヤードで流水解凍⇒絞るという行程で、ほうれん草に本来含まれているカロテン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンCなどの栄養素はすっかり流れ去っていると思われる。

【鶏の唐揚げ/サクラ漬け/梅干し】

スーパーが仕入れるのは、衣をつけて冷凍された業務用の半完成品。それを冷凍のまま160度の油で6分間揚げる。

揚げたてのキツネ色を際立たせるために使われているのが、カラメル色素である。色素が使われている商品は他にも、ピンクが鮮やかな「サクラ漬け」や「梅干」がある。これらの添加物は工場の製造過程で加えられている。

色鮮やかなサクラ漬けと梅干は弁当の添え物に使われ、豆ごはんと同じく鮮やかな色合いが食欲をそそるように食材の配置も工夫されている。

ただ、惣菜売り場の名誉のために申し添えておくと、バックヤード作業ではpH調整剤とか防腐剤、あるいは着色料などの添加物を、いっさい加えることはない。インストア商品の賞味期限はせいぜいその日限りだし、弁当をつくる際に、前日に売れ残ったフライを再利用することもない。どのようにして作られているかを知ったうえで、買うか買わないかを判断して、上手に利用すればいい。

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