1足す1が2にならない在宅医療のリアル 映画「人生をしまう時間」が問い掛けるもの

黒川 裕生 黒川 裕生

―実際に現場を取材して感じた問題点は。

「お医者さんの数が圧倒的に足りていないことです。24時間態勢で、看取りまでやってくれる先生が少ない。在宅医はいるけど、いよいよ危なくなってきたら『病院に連絡を』というケースが多いそうです。でも今後はそういうニーズがさらに増えていくので、早く育成する必要があるのではないかと感じました」

―一口に「在宅死」と言っても、その中身は多様だということがよくわかる映画でした。

「決して在宅死を全肯定する映画ではありません。それよりも伝えたかったのは、私たちは元気なうちからきちんと死と向き合うべきだということです。自分はどんな最期のときを過ごしたいか、大切な人に早い段階で伝えてほしい。例えうまくいかなくても、周りの人が本人の思いを知っているのと知らないのとでは、大きく違いますから。この映画が死について考えたり、話したりするきっかけになればと願っています」

▪️「人生をしまう時間」は、10月5日から第七藝術劇場(大阪)、10月12日から京都シネマ(京都)、11月2日から豊岡劇場(兵庫県豊岡市)、11月9日から元町映画館(神戸市)で公開。

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