1足す1が2にならない在宅医療のリアル 映画「人生をしまう時間」が問い掛けるもの

黒川 裕生 黒川 裕生

―取材したのは64家族にも上るそうですね。

「小堀先生と、もう1人、同じチームの堀越洋一先生にもついて行かせていただきました。2人の分を合わせて64です。もちろんこれは、2人が受け持っている患者さんの一部に過ぎません」

―老老介護の夫婦に良かれと思って介護サービスを紹介したら、介護を受けていた奥様の調子が悪くなったケースが印象的でした。

「70代後半のご主人が奥様の介護を全部1人で背負い込んでいたんですが、他人が見ると絶対どこかで限界が来てしまうとわかりますよね。なのに、介護保険を使ってサービスを入れたら、逆に元気がなくなっちゃった。2人の世界が、外部の介護が入ったことで壊れてしまったんですね」

「1足す1が2にならないのが介護。こうしたらいいっていう正解がないんですよ。それぞれ事情が違うから。全盲の女性が末期癌の父を世話している家も、知らない人からは無茶に思えるけれど、あの父娘にとってはあれがベストなんです」

「一方で、在宅でうまくいっていたのに、遠方の親戚から『病院に入れてやってくれ』と言われて、本人の望む最期が迎えられなくなったケースも。小堀先生は『我々の戦いは常に負け戦だ』と仰っていました」

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