先日、京都市ふるさと納税応援大使を拝命いたしましたが、日本にはあまり「寄付」の文化が根付いていないように思います。例えば「私財を投げうったり」、「施し」はあるけど、それは「寄付」とは少し違う性質のものだと感じます。
日本人は何かしらお世話になったりすると、物事が終わった後に、「お礼」をお渡ししますよね。ところが以前ある国でお世話になったガイドさんに、行程の最後にお礼を渡したら、すごく驚かれた。その国では待遇を良くしてもらうため最初に渡すんですって。所変わればですね。
「ふるさと納税」も、本来は日本人の感覚にはなかったもの。そして、その寄付に対して返礼品があるなら、「少しでもいいものを」と思うのも日本人としては当たり前の感覚。私も残念だった返礼品は、翌年からは選ばないし。逆に我が家で継続しているのが、山形のサクランボの木のオーナー。熟れたら自分で収穫してもいいし、行けない場合は送ってもくれるんです。今年は家族で行きましたが、農家さんとのやり取りも含め、素敵なふるさと納税だと思っています。ちょっとお高い目ですが(笑)
だけど、地場産業がない地方自治体もある。泉佐野市のアマゾンギフトも賛否はありましたが、努力の結果だったことは間違いないと思います。国は導入前にもっとシュミレーションをして考えておくべきだったと思います。確かに「寄付」だし見返りを求めないものというのは大正論ですが、ここ迄「返礼品」が過熱すると「本来はかくあるべき論」はもう通らないと思います。
私は京都は新たに返礼品を作るよりも、いまある財産を生かすべきだと考えます。例えば海外の古城ホテルのように、二条城といった歴史建築への宿泊やウェディング、祇園祭の専用観覧席、観光名所近くの駐車場の優先権など、いろんなモノが活用対象になるはずです。
また伝統産業もたくさんあるので、体験コースを返礼品にしてもいい。婚約指輪で人気の「俄」、風呂敷専門店「伊兵衛ENVERAAK」など京都発のお店は、若い人や海外の方に大人気。京都の伝統的なお店はどこもが「俄」や「伊兵衛」になる可能性を秘めています。もし後継者に悩んでいるお店も、体験型のふるさと納税から、新たな人材を発掘できるかもしれません。
個人的には、そうして集まったふるさと納税で、観光客用のトロリーバスを運行してほしいですね。例えばハワイはワイキキの浜辺やアラモアナショッピングセンター、さらには観光スポットを巡るトロリーバスがあり、地元の人とは別の“足”が用意されている。観光客と住民が住み分ける事によって、オーバーツーリズム(観光公害)が緩和できるんです。京都も観光客と市民がお互い快適に過ごせる街づくりが必要だと思います。そのためにも、是非ふるさと納税について、考えていただければうれしいですね。