「溶けない」アイスに「落ちない」ソフトクリーム…観光地の京都ならでは氷菓子の進化

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 本格的な夏に向け、「暑くても溶けない」アイスキャンディーや「逆さにしても落ちない」ソフトクリームなど、一風変わった夏のスイーツが京都で人気だ。一見暑さですぐに形を変えそうな冷菓に付加価値をつけることで、観光地で増える食べ歩き商品に生き残りをかけている。

 京都市右京区の豆乳スイーツ専門店「京豆庵」。看板商品の「豆腐ソフトクリーム」(400円)は逆さにしてもコーンからクリームが落ちないとSNSを中心に話題だ。世界中に拡散され、最近は外国人客も多く訪れる。

 同店の山口裕美さんは「大豆丸絞りで、濃厚なもっちりとした質感。簡単には落ちない」と胸を張る。滋賀県の契約農家から無農薬の大豆を仕入れ、大豆と水だけで添加物を用いない安心さが売りという。

 清水寺近くの東山区に店舗を構える「京都・本くず氷」では、「溶けないアイスキャンディー」が話題だ。店名の通り、京都の名水に古来から和菓子に使われたという奈良県吉野産の本くず粉を混ぜることで、溶けにくくとろりとした食感を実現した。

 味にもこだわり、「7種のふるーつ」「愛媛みかん」「宇治抹茶」など季節ごとに約10種類を1本500円から販売。運営するマッシュアップ(東京都)は「持ち歩いても液だれしにくい。和三盆などで優しい甘みに仕上げた」とする。

 「溶けにくい」などの特徴を打ち出す背景には、素材へのこだわりとともにテークアウト商品の差別化競争がある。外国人観光客の増加を背景に伸びる食べ歩き需要で、観光地の店では開発が活発だ。京都の厳しい暑さの中で「食べ歩きしやすさ」も注目される一つのようだ。

 宇治茶製造の農業法人「D―matcha」(京都府和束町)が今月オープンした出町柳店(上京区)でも、「夏でも溶けない」と銘打った茶のアイスキャンディーを販売。同法人で栽培する宇治茶やほうじ茶にサツマイモのデンプンを配合し、溶けにくくした。田中大貴社長は「近くの鴨川で食べ歩きや写真撮影を楽しめるように」と店の立地を商品に生かす。

 8月は厳しい暑さが続いている。各店の競争はさらに激化しそうだ。

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