四国東部のサーフィンスポット…五輪新種目採用で集まる注目・ビッグウェーブ!

大西 昭彦 大西 昭彦

 夏の到来とともに、サーファーたちの気分はわき立つ。

 関西からだと日本海にでるか、東海地方へいくか、紀伊半島の先端あたりをめざしてもいい。あるいは海を渡って、四国の室戸方面という選択肢もある。

 四国の南東部、室戸エリアには関西でもその名を知られた生見、宍喰といったサーフィンスポットがある。大阪・神戸からは車で各ポイントまで約4〜5時間と、少々時間はかかる。しかも、徳島道「徳島IC」をおりてから一般道を2時間ほど走らなければならない。

 けっして近いとはいえないが、それでも条件さえ整えば、太平洋の波がドドーンッと打ち寄せてくる。空には夏の高気圧がはりだし、風向きが北西よりのオフショアになると、波の状態は申し分ない。ほかにも内妻や尾崎といったポイントもある。それぞれ特色があるので、事前にチェックしておきたい。

 それぞれのポイントでは、夏のあいだ毎週のようにサーフィン大会も開かれる。各自治体もサーフィンを後押しし、このスポーツに理解がある。幼いころから波に乗ってきたというローカルサーファーも多く、これまで多くのプロを輩出してきた。

 徳島県牟岐町も、サーフィンスポットをいくつかかかえている。同町には3つの離島があって、そのうちのひとつに出羽島(てばじま)がある。

 牟岐漁港から連絡船に乗って約15分。船をおりると、静かでノスタルジックな雰囲気が漂う集落がある。漁船のエンジンがとまると、波の音だけが聞こえてくる。夏の日ざしに照らされたひなびた道に、手押し荷車がおかれている風景はこの島ならではだ。素晴らしい島だけに、島の暮らしを尊重した行動は絶対条件だ。

 網を修理していた年輩の漁師に話を聞くと、「ここにはむかし遠洋漁業の基地があって、にぎやかな時代もあった」という。

 いまではこの島にも、サーファーたちがやってくる。沖にさえぎるものがなく、大きな波に出会える。それだけに自分の技量をじゅうぶんにわかったうえで、パドルアウトする必要がある。

 2020年の東京五輪では、開催都市として提案する追加種目にサーフィンが採用された。世界を転戦するサーフィン大会の最高峰『チャンピオンシップツアー(CT)2019』の第3戦バリでは、五十嵐カノア選手が日本人初の優勝をはたした。テレビ中継もはじまっている。見ていると、その面白さや採点方法もわかってくる。

 東日本大震災後には、「波」ということでサーフィン業界にも自粛のうながす動きがあった。そのスポーツにようやくビッグウェーブが到来しつつある。

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