親戚からの性被害「なかったこと」に 心に傷抱え40年 「その時」に親ができることは

広畑 千春 広畑 千春

 警察庁の犯罪統計によると、2018年の13歳未満の子どもの被害認知件数は強制性交等が151件(前年比60件増)、強制わいせつが773件(同180件減)。一方、2018年版警察白書によると、児童虐待事案は増加の一途をたどっており、性的虐待も過去最多の169件(2017年)が摘発されている。身内など親しい間柄で起きている場合、「表ざたにしたくない」として数字に現れない被害も少なくない。もし、子どもが被害者や加害者になったら、何ができるのか。立命館大学総合心理学部の仲真紀子教授(発達心理学)に聞いた。

 ―子どもが「被害に遭った」と打ち明けた場合、どう対応すべきですか?

 「大人も気が動転し『いつ?どこで?本当に?』など聞きたくなりますが、問い詰められると子どもは『自分が悪い』と思ってしまいがちです。まずは『よく話してくれたね』『話してくれてありがとう』と声を掛けてあげてください。子どもが安心できることが第一です。その上で、告白を受けた大人は、自分がその告白を『いつ』『どこで』『どういう状態で』受けたかをメモし、子どもが自分で話せるようなら『誰が、どうした(何が、あった)』程度を聞き、警察に通報してください」

 ―いろいろ聞くのは逆効果ということですか?

 「はい。子どもが『触られた』というときに『胸は?』『お尻は?』などと誘導して聞くのは、記憶を混乱させてしまい、結局、事実の解明や犯人逮捕につながらないこともあります」

 ―身内や親しい人からの被害だと、親も混乱してしまいそうですが。

 「一番いけないのは、『本当なの?』と疑ったり、『秘密にしよう』と口止めしたり、『あなたがぐずぐずしているから』などと責めたりすることです。被害に遭った子がどれだけ回復できるかは、親や打ち明けた人がどれだけ支えられるかに大きく依存します。親もかなりの緊張状態に置かれますし、『この子の言っていることは正しいの?』と不安になりますが、加害者側についてしまうと被害を受けた子の傷はさらに深くなりますし、それ以上口に出せなくなります」

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