親戚からの性被害「なかったこと」に 心に傷抱え40年 「その時」に親ができることは

広畑 千春 広畑 千春

 ―性的虐待なども同じ構図ですね。

 「特に実父や義父からの性被害では、母親の側が夫との関係を優先してしまったり、『娘が誘った』などと疑ってしまったりすることがよくあります。でも、頼りになるのは母親だけ。性的虐待では、母親への支援はかなり重要なテーマです」

 ―加害側だった場合はどうでしょう。

 「非常に難しい状況で、親もショックを受けると思いますが、『ああ、ここで見つかって良かった』と思うことが大切です。その上で相手方への謝罪はもちろん、児童相談所などに相談し、矯正(リハビリ)のためのプログラムなどを受けてほしい。未成年者の場合、単なる性的衝動だけではなく、別のところで不安など心理的問題を抱えている場合も少なくありません。早い段階で、きちんと心理教育やカウンセリング、性教育をすることが再犯防止に有効です」

 ―親の側も、勇気が必要ということですね。

 「はい。大人になって小児性愛などの傾向を示す人の中には、子どものころに友達や妹などに加害行動を試し、そこで明るみに出なかったからそのままずるずると…という人もいます。もし加害行動を見つけたなら、怒るのではなく『一緒に考える姿勢』で『何がきっかけとなったのか、その結果何が起きたのか、何を変えればしないですむか』など話してみてください。親が抱えきれなければ、スクールカウンセラーや児童精神科のクリニック、匿名の電話、ネット相談などもあります。子どもは大人が考えるよりも、大人の気持ちを忖度しています。言えなかったことを話せたことで、親子の関係が良くなる例もたくさんありますから、よい未来を見据えて、勇気を持って臨んでいただければと思います」

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