聖徳太子創建の四天王寺、「おまいりイコカTV」など意外なアピール作戦とは?

Lmaga.jpニュース Lmaga.jpニュース

 聖徳太子により開かれた日本仏法最初のお寺である、和宗総本山「四天王寺」(大阪市天王寺区)。593年に創建され、1400年以上も歴史のある由緒正しいお寺だが、ここ2、3年、その「寛容さ」が気になっていた。境内では意外性にあふれたさまざまなポイントを発見。その理由について同寺に直撃した。

 まずは目に飛び込んでくるのが「聖徳太子の飛び出し坊や」。そして点在する売店には、個性的なアイテムがずらりと並ぶ。キューピーとコラボした「聖徳太子ストラップ」、一斉を風靡したマンガ家・川崎ゆきおによる「四天王寺記念散華」、寺院の由緒などが書かれた「四天王寺トランプ」、人気トップ3を誇る「黒い亀の寶器籠(ほうきかご)」、外国人がよく買うというTシャツなど、ユニークなグッズのオンパレードだ。

 そんななか、開発2年を費やし、売り切れ続出というのが、「御乳守(みむねまもり)」という乳パッドのお守り。古代から胸の悩みを聞いてくれる布袋堂本尊の乳布袋尊。「乳がん」や「乳腺症」といった病気だけでなく、サイズに関する悩みまでもご祈祷されているお守りで、発売するや爆発的な人気に。各カラー売り切れ続出で、現在追加製造中だという。

 そして、6月5日に開催された『霊場巡拝(おまいり)いこか』にも目が釘付けに。新西国霊場の札所全38カ寺が一堂に集まる、40年ぶりという一大イベントで、インターナショナル大座禅会など特別企画も盛りだくさん。それを告知するフライヤーは、なぜか3種類。1枚目は、オーソドックスだが、2枚目で一気にナゴヤカモードに。そして3枚目は、増田こうすけによる『ギャグマンガ日和』とコラボ。ちなみに『ギャグマンガ日和』に登場する聖徳太子は常にジャージ姿だが、ここでは初の正装が拝める(小野妹子も「太子が仕事してる」と驚いている)。

 公式サイトとYouTubeでは専用番組「おまいりイコカTV」も配信。「四天王寺」の2人の若手僧侶、加藤公啓さんと田渕観宝さんが霊場巡拝についてわかりやすく教えてくれる番組で、自ら台本をつくり、スマホで撮影し、編集、アップまですべてをおこなう。これまで5回にわたり、霊場巡拝について解説してきた。厳粛で静謐なイメージのある僧侶が、ユーチューバーというのも驚きだが、その楽しそうなコメンテーターぶりが、なんだか微笑ましく、とても親しみがもてる。

 もう一度言うが、「四天王寺」は1400年以上もの歴史ある由緒正しいお寺。それだけに、この意外なプロモーション活動は、どんな狙いがあるのか、四天王寺の広報さんに話を聞いた。

 ──まずは率直にうかがいます。こんなに寛容な感じで大丈夫なんでしょうか?

 加藤さん「実はあえてそうしているんです。というのも、四天王寺は聖徳太子創建のお寺であり、その土台には『和の精神』があります。ここを訪れていただいたとき、心が救われるように、また、決して信者さんが不快に思ったり、傷ついたりしないよう実は細心の注意を払った言葉遣いにしているんですよ」

 田渕さん「どんな取り組みでも、住職による細かく厳しいチェックがあります。でも、これまでの型にとらわれないように、新しい取り組みをしていきなさいとも、常々教えられています。寛容な感じですが、芯はしっかりしているんです」

 ──ユーモアあふれる企画はほかの寺院ではあまり見かけないですが、なぜ「四天王寺」はこんなに自由な発想でグッズやイベントの企画ができるんでしょうか?

 田渕さん「四天王寺が総本山であることが大きいですね。系列の寺院ですと、本山の許可が必要だったりするんです。会社でいうなら系列会社が本社に許可を取るという感じでしょうか。その許可を得るスピードが速いんです」

 加藤さん「これはダメだけど、こことここを変えればOKとか。細かな訂正ならすぐできますから、やはりスピード感は出ますね」

 ──こちらではさまざまなユニーク・グッズを販売されていますが、特に御乳守は思いもよらないアイテムですね。

 加藤さん「女性の信者さんからの要望を形にしました。女性が肌身離さず身につけれるもので、パッドはどうかな?ということで開発したんですが、かなり時間はかかりましたね」

 田渕さん「あの時は肌触りや素材、耐久性もかなり追求しましたね。あらゆるメーカーのパッドをさわりました。職員たちとひとつひとつ手作業でラベルを付けて、実際に使ってもらったりもして。販売すると爆発的に人気が出て、みんな、うれしさ反面、驚いています」

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース