タイムストラベルはどうえ~? 京都に花街の町並みを再現した「町ごとホテル」が登場

村山 祥栄 村山 祥栄

京都にこんなところあった?

京都人なら京の伝統的な町並みはどこにあるかは大抵知っている。祇園花見小路や新橋、ねねの道から産寧阪といった東山界隈、先斗町、上賀茂社家町、西陣浄福寺通りなど整然と残されている町並みはかなり限られているからだ。

そんな京都人が見ても、ここがどこかわかるまい。

先に言っておくが、昨年から中国大連では京都の町並みをそっくり再現した『京都風情街プロジェクト』が進行しているが、そういった類のものではない。正真正銘、京都洛中・四条高辻にある一街区だ。しかし、訪れた人もほぼいないだろうし、見つけることも不可能に近い。だが、確かに秘密の街は存在する。

高辻通沿いにその秘密の異空間への入り口はあるが、外からは全くわからない。なぜなら、ここは、築110年以上の町家が立ち並ぶ約1,400平米のL字型路地一体を1つの宿に改修した旅館だからだ。しかも、この町並みは、その玄関口のレセプション棟を抜けたところに存在する。

 ホテルの新形態、「町ごとホテル」

 この数年、京都の宿泊事業は京町家や番組(町組)小学校のリノベーションなど進化し続けてきたが、ついに街区ごと買い取り、町並みごとリノベーションするという新形態が現れた。町家は全てを残して改修したため、町並みの統一感はあるが、一戸一戸の町家の形状は微妙に違う。23棟からなる町家も構造や梁をそのまま残し、全戸坪庭を利用した露天風呂を設けたラグジュアリーな造りに改装されている。

 私有地ならでは電柱や道路標識など現代的要素は全くない。その路地に迷い込むと、まるで昔の花街にタイムスリップしたような雰囲気に包まれる。昼ももちろん情緒あふれる空間なのだが、夜になると提灯や置き行灯がさらに艶やかさ引き立ててくれる。

 しかし、気になるのはこの新しい街ごとホテルという発想だ。「一番は街並みごと残っていた土地に出会えたことです。弊社はこれまで京都で町家タイプの宿泊施設を十数棟、うち二棟はミシュランガイドにも掲載頂き、一定のノウハウがありました。従業員も常駐させられ、街ごと宿泊施設にすることに大変魅力を感じました。」と運営する大門真悟氏(株式会社Nazuna代表取締役)は語る。この街ごとホテルという新形態が京都の新しい宿泊施設の形になるのだろうか。

 ちなみに、基本は宿泊者のみのスペースだが、施設内に併設される『和牛料亭 bungo』(現在、コロナの為休業中)で食事をすれば誰でも入ることが可能だ。今後は結婚式やイベント、撮影などへの貸し出しも検討されているとのこと。コロナが落ち着いて再開されれば、話のネタついでに訪れてみてはいかがだろうか。インスタ映え抜群の絵が撮れることだろう。

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