今回は患者さまからよく聞かれる「緑内障の人が使えない薬」についてのお話です。市販のお薬を買おうとしたときに、パッケージに「緑内障の方は使用しないでください」と書かれていることに気がついたことはありませんか?赤字で目立つように書かれているので、目にしたことがある方も多いと思います。身近なところにあるお薬としては、かぜ薬や睡眠薬などによく記載されています。
別のシーンでは胃カメラを受ける時。前処置をする時に「緑内障と言われたことはありませんか?」と質問されることがあります。緑内障の方が使えない薬とはなにか、もし使ったらどうなるのかについてお話させていただきます。
まずは最初に目の中の水の流れについて説明しておく必要があります。目の中には水の流れがあり、毛様体という組織で作られた水は茶目の中央を通り排出されていきます。この排出する場所を隅角(ぐうかく)と呼んでいます。
緑内障の方が使えない薬は、この隅角を狭くする作用があるのです。隅角は狭くなると水はけが悪くなり、急激に眼圧(目の固さ)が上昇することがあります。これを緑内障発作と呼びますが、眼圧が極端に上がると目の奥の神経が痛み失明することがあるのです。
とはいっても緑内障のタイプにも色々あり、隅角が開いている「開放隅角」の方と狭い「閉塞隅角」の方がいらっしゃいます。もともと閉塞隅角の方は上記のような薬を使うと、眼圧が上がるリスクがとても高いのです。
緑内障を指摘されている方は、自分の緑内障のタイプを知っておいたほうがよいでしょう。眼圧が急に上がると激しい目の痛み・頭痛・吐き気・視力低下がおこります。そういった症状がおこった場合は、緑内障発作を起こしている可能性があります。
ご家族に緑内障の方がいたり、心配な方は1度眼科で調べておくといいと思います。眼科で診察を受ければ、どんなタイプの隅角か知ることができます。