高齢者の病気や入院、施設への入所で飼えなくなった犬や猫が行き場をなくして困ることがある。めるちゃんはおばあさんが飼っていたのだが、おばあさんはどうしても入院しなければならなかった。
おばあさんが飼っていた猫
めるちゃん(メス)は、2016年3月、推定1歳の時に長崎県に住む加藤さん(仮名)に引き取られた。加藤さんは地元で医院を開業しているのだが、猫が好きで数匹の保護猫を飼っている。
院長の加藤さんは、ずっと診察しているおばあさんの家に往診に行った。おばあさんは入院して治療しないといけない状態だったので、「入院しないとだめです」と言ったが、おばあさんは「猫をおいたまま入院できない」と言う。
猫は、おばあさんのところにやってきてエサをもらううちに飼い猫になった子だった。高齢ではないのだが、ヨタヨタしてまっすぐ歩けない。加藤さんは、この猫は死ぬかもしれないと思った。おばあさんのことも猫のことも放っておくわけにいかず、おばあさんが入院している間、猫を自宅で預かることにした。
「でも、おばあさんが退院後施設に入ってしまったので、うちでそのまま飼うことにしたんです」
いろいろ病気を持っていたけれど
加藤さんのところに来た時、めるちゃんははひどい猫風邪をひいていて、鼻水が止まらなくてずるずるの状態、さらに鼻水には血が混じっていた。頭が左右に傾いてバランスを取って歩くことができず、フラフラしている。動物病院で診てもらったところ、脳のバランス感覚を司るところに異常があるかもしれないということだった。
めるちゃんの病気はそれだけではない。白血病のキャリアだったので、ウイルスを退治するために1週間に2回注射をするため5ヶ月くらい通院した。しかし、治療のかいなく白血病のウイルスはめるちゃんの体内に居座った。いまは、体調が悪い時だけインターフェロンを注射しているのだが、その注射は効果があるようで、元気だという。持病のぜんそくも完治した。