書店の棚の下の引き出しを開けたら店員に注意され気分が悪いー。店側に寄せられた「お客さまの声」がインターネット上で話題です。現役書店員に尋ねると、引き出しは「ストッカー」と呼ばれる在庫や備品管理庫で、「開けないで」が本音とのこと。話を聞くと、書店員の苦悩が見えてきました。
あるツイッターユーザーが、商業施設に張り出されたお客様から店への要望メモの写真を投稿。その内容は、書店の棚に目当ての本がなかったので、棚の下の引き出しを開けたら、店員から「開けないでください」と注意された、注意するなら張り紙をしてほしいといったもので、SNS上では「普通は開けない」「非常識」「人の家の冷蔵庫を開けるようなもの」「お客さまは神様ですを誤解している」など、否定的な意見が並びます。
バックヤード倉庫と同じ感覚
大手書店チェーンに勤める書店員さんに聞きました。
-棚の下の引き出しは、どんな役割があるんですか。
「うちのチェーンではストッカーと呼んでいます。店頭に補充するための在庫やお客さまの定期購読本、店によっては従業員が業務終了後に購入する本を一時的に保管する場合もあります。あとは版元(出版社)さんから届く商品の拡材(ポスターやPOPなど)を入れています」
-倉庫と同じ役割ですね。
「ストッカーは、コンビニなどのバックヤード倉庫と同じ感覚です。だから勝手に開けないでほしい、というのが本音です」
-勝手に開けるお客さんに遭遇したことはありますか。
「あります」
-目の前でお客さんが開けたらどうするのですか。
「必ず声掛けします。でも『開けないで』では角が立つので『何かお探しですか』とソフトに。入社時の接客研修で習います」