同館によると、この常設展が始まったのは2013年度から。子どもたちがダイヤルの穴を指で押したり、受話器を上げずにダイヤルを回したりするのに気づいた学芸員の茶谷まりえさん(30)が、良かれと思って使い方をイラストにしたという。
昭和63年生まれの茶谷さん自身、黒電話は「教科書で見たことがある程度」。とにかく「昔の道具」という印象しかないそうで、炭火アイロンや洗濯板、もっと言うと飯びつや豆炭あんかなどと並んでいても全く違和感がないというのだ。
同じく学芸員の溝邊悠介さん(37)は、まだ黒電話をぎりぎり覚えている世代。「自分が慣れ親しんだ家電が歴史的史料として扱われていることにショックを受ける皆さんの気持ちはよくわかります」と頷く一方で、こんなことも。「例えばもっと年配の方なんかは、それこそ飯びつや豆炭あんかなどを見て『なんであれが昔の道具なの?』と驚くんですよ」
なんか騒いでるみたいだけど、黒電話は要するにそれと同じだよ…。君たちの幼少期、青年期はもう古い歴史の1ページになっているんだよ…。現実を受け入れた方がいいよ…。溝邊さんのそんな心の声が聞こえた気がしたが、もちろん気のせいである。気のせいであってほしい。
▼奈良県立民俗博物館 http://www.pref.nara.jp/1508.htm