実は「太陽の塔」には4つの顔が存在している。現在を表しているのが、最も知られた正面の「太陽の顔」。その他は、未来を表す頂部の「黄金の顔」と過去を表す背面の「黒い太陽」、そして過去の「根源の世界」を表した地下展示のうちの一つである「地底の太陽」だ。ところが「地底の太陽」は大阪万博閉幕後に行方不明に。現在は、復元されたものが設置されている。
内部公開最大の見どころは「生命の樹」だろう。高さおよそ41メートル。カラフルな枝と、周りを取り囲む33種183体もの生物模型の数々に圧倒される。岡本太郎はこの樹について「太陽の塔の血流だ」と話したという。
順路は、この「生命の樹」の周りを囲むように上に登りながら進む。下は原生類、徐々に爬虫(はちゅう)類や哺乳類の生物模型が姿を見せ、最後に人類へと姿を変えていく。上に進むにつれて生物は進化を遂げており、見る人がこれを体感できるようになっている。
48年ぶりとなった公開の狙いは、大阪万博のレガシー継承だ。そのために耐震工事、生命の樹に取り付けられた生物模型の再生事業が行われてきた。単なる「修復」もしくは「再現」ではなく、あえて「再生」としているのは、当時のメッセージ性はそのままに、LEDなど、当時にはできなかった技術を用いることで、よりみずみずしく生命の躍動を表現しているからだ。
今回の内部公開が好評を博している最中、2025年の大阪万博開催が決定した。さらなる大阪の盛り上がりが今から待ち遠しい。