現在の製造量は年間約250石(一升瓶で2万5000本)と京都ではもっとも規模が小さいが、業績は右肩上がり。今年10月からは同社の「純米大吟醸 五紋神蔵 KAGURA 無濾過原酒」が山陽新幹線の車内販売に採用されるなど、関西を中心にじわじわと人気が高まっている。
理由の一つは、もちろんおいしさだろう。優しい吟醸香とフレッシュな味わい。甘味と酸味のバランスがよく、飲みやすくキレがある。目指すのは「香り、味わい共に高いレベルで調和した、第一印象の良い酒」。正月などのいわゆるハレの日にしか日本酒を飲まない人や観光客にも「日本酒はおいしいもの」と印象付け、普段の消費につなげたいという狙いがある。実際、同社の酒を口にして、日本酒にハマった人も少なくない。
また、酒販店や飲食店が主催する「酒の会」や地域イベントに社長自ら出向き、商品や酒蔵のストーリーを語りながら飲み手とのコミュニケーションをはかっていることも、ファンを増やし続けている理由だ。
12月下旬には純米酒と純米大吟醸の新酒が搾られる。新たな年を迎える祝い酒として、同社の「神蔵」で乾杯してはいかがだろうか。蔵で販売しているほか、同社HPからも購入可能だ。http://matsuishuzo.com/