平成最後のお正月がやってくる。混同されがちな「元日」「元旦」については、ご存じの方も多いかもしれないが、正確には元日の朝が「元旦」。この「旦」は太陽が地平線上に現れる時を表しているとされ「夜明け」「早朝」の意味だとか。そんな元旦に欠かせないのが「おせち料理」。これも一説によるともともとは正月料理ではなかったという。
「おせち」とは「御節供(おせちく)」を略して呼んだもの。つまり、節日(せつじつ)に神に供える食べ物のことで、当初は季節の変わり目の節句に年神様へ供えるための「お節料理」だった。それが大晦日の年越しの時に食べるようになり、正月料理になった-との説がある。
ちなみに正月の箸といえば両方が丸くなっているものが一般的。これも年神様と共に食べるからだという。このように年神様への供物料理として誕生した「おせち料理」。その後は家族の繁栄を願う縁起物の家庭料理としても伝えられてきた。
家庭料理専門家が経営する東京・京王線仙川の「Beet(ビート)」。本格的な“おふくろの味”の店として人気の同店オーナーシェフ・田中由起子さんに、おせち料理について聞くと「日持ちする材料を使い、年賀に来る客にも出せるよう重箱(お重)に詰めておく」のが一般的だという。その重箱には「1~4重の重箱があり、お重に詰められた色とりどりのおせち料理が主役になるのがお正月」とか。田中さんに一般的な「お重の中身」を聞いてみた。
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一の重…口取り(かまぼこ、きんとん、伊達巻など)
二の重…焼き物(ブリの照り焼き・イカの松風焼きなど)
三の重…煮物(レンコン、里芋、高野豆腐など)
四の重…酢の物(紅白なます、酢レンコンなど)
※さらに五の重を用意する場合も。
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こうした重詰の正月料理の共通する特徴は“作り置きがきく”ということ。つまり「おせち」の本流は、年神様の神饌(しんせん)を、五穀豊穣や、健康、家族の安寧(あんねい)などの願いを込めていただくことにあったと言える。