令和五年「癸卯(みずのとう)」の新春を寿ぎお祝い申し上げます

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新しい年「令和五年」が明けました。誠におめでとうございます。皆さまにとって健やかな年となりますようお祈り申し上げます。
「正月の人は神なり仏なり」と申しますように、一夜明ければすべてが新鮮に、あらたまって感じられるところにお正月の不思議があります。日本人なら誰もが感じる正月のめでたさ、これはどこから来るのでしょう? 皆がニコニコとお祝いの挨拶をするのはなぜ? せっかくの元日です。ここのところをキチンと確認しておくよい機会かもしれません。「お正月って何?」いくつか拾ってみましょう。


門松を立ててどなたをお迎えしましょうか?

お正月の準備といえば先ず家の大掃除から始めませんでしたか? 忙しい中にとりあえずできるところから、と皆が頑張りました。そして家の門や玄関に注連飾りや門松を飾り、床の間には少し大きめの鏡餅を据えます。神棚や仏壇、またキッチンにも小さい鏡餅を飾る習慣のある家は多いことでしょう。

このように家を浄めること、飾ることにお正月の一番大きな意味があるそうです。じつは各家に訪れる「歳神様」をお迎えするお祭り、それがお正月なのです。「歳神様」は「歳徳神(としとくじん)」ともいわれ、その年の福徳をつかさどり、私たちに幸せを運ぶ祖先神ともいわれています。

米作りが中心だった日本で「一年」とは、春に種籾を蒔き苗を育て田植えをし、秋の収穫を迎え、冬には次の年の準備をする、この毎年くり返される一つの流れを意味するようになりました。「歳徳神」は春から始まる米作りに豊作をもたらして下さる神さまでもあるのです。

お正月はこの「歳神様」をお迎えしお祀りする大切な時なのです。玄関口に立てる門松は迷わず来ていただくための目印となる依り代、注連縄は結界をし、清浄を保ちます。床の間に飾る鏡餅は「歳神様」へのお供えという意味があるのです。

何げなく習慣としておこなっていたお正月の支度には一つ一つの意味があったのだ、とわかると、自分たちが長い先祖からの大きな流れの中に生きていることが感じられ、お正月のめでたさや理由も腹に落ちるのではないでしょうか。

現代的なビルにもお正月には厳かな門松が立ちます


元旦の朝一番に「若水」をいただこう!

元旦の朝一番に汲む水を「若水」というそうです。除夜の鐘がなり年が明けると、年男の中から選ばれた人がその年の縁起のいい方向、恵方の井戸で水を汲みました。それぞれの家では一家の主や長男がこの役目を担ったり、地方によっては女性が行うこともあるとのこと。この水を飲むと命が新たにに生まれ変わり、邪気を祓うと信じられています。
平安時代の宮中では立春の早朝に主水司(もいとりのつかさ)が天皇に奉った水を「若水」といいましたが、後に一般に広まり元旦に汲む水となったそうです。

《一睡のあと暁闇の若井汲む》 福田甲子雄

この「若水」は「福水」ともいわれ歳神様にお供えし、口をすすいだりお茶を点てたりして新しい年の新しい命を頂きます。生命を育む水にひとりひとり再生の祈りが込められていることがわかります。井戸水を汲むことが難しい現代は、水道の水でも願いを込めて汲むことで充分に「若水」となることでしょう。家族そろってお茶を飲み、お雑煮をいただけば心身ともに新たな気分になり、新年の抱負や今年の目標も立てていけそうではありませんか。


「お節料理」は一品ごとに込められた祈りの詰め合わせ

お正月にいただく「お節料理」はふだん食べているものとはちょっと違います。食べ慣れない食材も多いために儀礼的に食べてしまいがちですが、それではもったいない。少しでも意味を感じ取ることができれば食べる楽しさにつながります。

最初にいただく「お屠蘇」は屠蘇散を味醂やお酒に漬けたものですが、この中には山椒やシナモン、桔梗といった薬草が含まれており、これをいただくと一年の邪気を祓い寿命を延ばすことができるところから「延命散」ともよばれています。何よりも健康は昔も今も変わらない人々の願いです。

子孫繁栄を願うものでは「数の子」や「芋頭」が挙げられます。「数の子」はニシンの腹子、二親からたくさんの子供が生まれる縁起をかついだものです。里芋の親である「芋頭」は家の芋ともいわれ子芋をたくさん付けるところから子宝につながっています。

家運や金運を願うものといえば金色に輝く「栗きんとん」でしょう。甘いさつまいもの餡に栗の実と贅沢さもまた豊かさを感じさせます。

語呂合わせでは「昆布巻き」の昆布が「よろこんぶ」と喜びを表し、「黒豆」はマメに働くや真っ黒になるまで働ける元気な身体を願う気持ちが込められています。

一年に一度ひとつずつ食べながらその意味を繰り返し話していくことで、自然に伝わってきたお正月の意味。これからも続けていければいいですね。

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