「最近盛んになった中華風、洋風、和洋折衷のおせちは、あくまで新しい流行なので、こうした伝統にこだわらないものもあります」
したがって、日本の伝統的なおせち料理のお重に詰める食材には、皆それぞれ、以下のような意味がある。
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黒豆…家族皆が1年中まめ(まじめ)に黒くなるまで働けますようにという願い。
昆布…コンブの語呂合わせで“喜ぶ”に通じる。
ユリ根…花のように、りんべんが重なっていることから“子孫繁栄”の縁起物。
数の子…こちらも子孫繁栄。子どもがたくさん生まれて、代々栄えて行くように。
レンコン…穴を通して、未来の見通しがきくという縁起担ぎ。
エビ…調理すると背が丸くなることから、腰が曲がるまで長生きを。
タイ…めでたいに通じる語呂合わせ。七福神に関連し、恵比寿様がたいを抱えている。
ごぼう…細長い形から“細く長く、つつましく”という願いが込められている。
八つ頭…読み方は“やつがしら”。頭になるということで「人の上に立つ」ということ。
里いも…子芋がたくさんつくことから“子宝に恵まれるように”との願い。
くわい…大きな芽が出て“めでたい”と“子孫繁栄”“商売繁盛”を。
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1年の幸せを願うお正月。だからこそ、縁起のいい食材を選んで出すのがおせち料理ということだろう。