医学生アイドル頑張れ…そして自問自答を

町医者の医療・健康コラム

谷光 利昭 谷光 利昭
谷光医師が使用している聴診器と医学書など
谷光医師が使用している聴診器と医学書など

 メディカルアイドルさんは、この道のりの最後のところまでは行っていたのでしょう。ご本人は芸能活動を休止して来春合格を目指すと、話されているとか。当時の私よりはるかにしっかりした考えをお持ちです。長い人生、1年ぐらい足踏みしても十分取り戻せるはず。ぜひ頑張ってほしいです。ほんまにそう思います。

 しかし、一つだけ言わせて下さい。本当に大変なのは、その後なんです。私は医師になってからが、あまりにも大変だったので、実は国家試験への勉強は辛いと思えないのです。喉元すぎれば熱さ忘れるなのか、単に記憶力が弱いのかはわかりませんが(苦笑)。正直、資格を得るまでの苦労など、「現場」でのそれに比べると、全然たいしたことはありません。彼女が1年間、勉強をし直す中で、どんな医者になりたいのかを真剣に自問自答する時間を持ってもらえれば、やがて知る“ギャップ”に耐えうる力になるのではと思います。

 今回のニュース。受け取り方はさまざまですよね。「医師を目指す人間だから、90%の合格率の試験には通りなさいよ」という声もありました。私には、世の中の人から見た医師の責任の重さを感じさせてもらえる一文ではないのかなと感じられ、反論するよりも、むしろ身が引き締まる思いになりました。

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