障がいや難病を抱える子どもたちと宝塚歌劇団OGによる初めてのチャリティー公演が12月27、28日に大阪市港区のTENPO HARBOR THEATERで開催される。タカラジェンヌOGが所属する芸能事務所としては最大級の「アレキサンドライト」が製作し「ベルばら」「エリザベート」など代表的なシーンをオムニバス形式で熱演。障害のある児童生徒と、その家族ら200人以上を招待する。
障がい児のため、タカラジェンヌOGが熱演
今年で111年の歴史と伝統を誇る宝塚歌劇団。そのOGを中心に構成される芸能事務所「アレキサンドライト」から12人が出演し、心温まるチャリティー公演が大阪市内で初開催されることとなった。
アレキサンドライトといえば、タカラヅカOGが所属する事務所のなかでも200人規模と最大級。他にハウステンボス出身者も籍を置く。「共に高め合う」という精神のもと、これまでにドバイや中国、あるいは被災地の熊本、能登など国内外で公演し、その円熟の演技で高い評価を得てきた。
公演そのものはどちらかといえば、富裕層向けが多かったが、今回の特徴は地域を限定することなく、障がいや難病を抱える子どもたちにも開放している点。当初は2日間で児童生徒らを160人無料招待する予定だったが、希望者が多く、家族を含めて最大260人分の席を確保した。
METの役員が両者の橋渡し役に
開催に尽力したのは大阪市中央区にあるMETイノベーション国際推進機構。創設者で共同代表を務める萩原国博氏をはじめ、官民のそうそうたるメンバーによって21年に組織されると医療福祉や環境問題、テクノロジーなど喫緊の社会課題を扱ったサミットやシンポジウムを開催し、存在感を高めてきた。
その一方で共生できる社会を目指し「インクルーシブイベント・スマイルデー」を開催。ひらかたパークを貸し切りにしたり、大阪関西万博の野外ステージでのイベントに招待するなど障がい者も見て、参加して、楽しめる催しを実施してきた。今回の宝塚歌劇団OG公演もその一環で、MET側の幹部に両者のパイプ役がいたことで一気に話が進んだという。
MET事務局長の伊野達亮さんは「タカラヅカには細かいルールがありますが、その垣根をとっぱらってもらった。ある意味で歴史的な出来事。障がいのある方がこのような公演に出掛けるのは難しい部分もあるでしょうが、公演に先立って、じっとしていないかもとか、声を出してしまうかもしれないということを周知徹底させてもらっています」と話す。
タカラヅカの名場面をメドレーで
気になる公演の内容はアレキサンドライトによると「ベルサイユのばら」「人魚姫」「エリザベート」など数々の名シーンを歌やダンス、セリフも盛り込み、オムニバス形式で演じる。障がい者の方に飽きさせない工夫をするとともに「すみれの花咲く頃」も歌い上げるとのことでタカラヅカのテーストを凝縮したプログラムとなっているのは言うまでもない。
アレキサンドライトの岡部優妙代表は「オールドファンには懐かしさを、初めての方にはタカラヅカの良さを味わってもらえると思います。いまは本番へ向け、内容を練り直しながら特訓中。華やかな衣装や輝きの中に落ち着いた、品のある演技を見ていただけるとありがたいです」と意気込んでいた。
当日はOGのサイン提供や写真撮影などの特典がある。また高市早苗総理大臣や吉村洋文大阪府知事からビデオメッセージが届き、来賓として石井苗子参議院議員、馬場信幸衆議院議員、金高雅仁(宝塚歌劇団取締役)らも出席する予定で年末を彩る公演になることは間違いなさそうだ。
◇チケットの問い合わせは株式会社アレキサンドライト☎06(6879)1138まで