飼い主とはぐれた被災猫 3・11から7カ月後の“奇跡”の理由

岡部 充代 岡部 充代
3・11に被災した猫。ある特徴が7カ月後の奇跡につながった
3・11に被災した猫。ある特徴が7カ月後の奇跡につながった

 「飼われていた猫ちゃんに、何か特徴はありませんでしたか?」

 担当者の問いかけに、飼い主さんはこう答えたそうです。

 「口の中の上アゴにホクロがあります」

 この言葉を聞いた人たちは皆、驚いたに違いありません。でも、確認してみると…あった!本当にあったのです。上アゴにホクロが!これはもう疑いようがありません。ロッシ君は「グレ君」であると認定されました。

 1カ月余りとはいえ、家族として暮らしたロッシ君との別れは、里親の女性にとってつらいものだったに違いありません。でも、譲渡の際の誓約書には「飼い主が見つかった場合は返還すること」の一文がありました。

 グレ君は飼い主さんのもとへと帰りましたが、その後も女性との交流は続いたそうです。そして、14年12月29日、グレ君は静かに虹の橋を渡りました。

 グレ君のことは、現在プレイボゥドッグトレーナーズアカデミー講師として、ペットに携わる仕事をしている矢川さんにとって「万が一」への備えについて考えさせられるエピソードなのかもしれません。

 「マイクロチップもかなり普及してきましたが、そのほかに飼い主さんができることとしては、ペットの写真をプリントアウトして携帯すること。スマートフォンの中にある画像は、いざというとき開けない可能性もあります。ご家族など複数人で持っておくとなおいいですね。次に、グレ君のようにできるだけ具体的な特徴を把握しておくこと。“上アゴのホクロ”に匹敵するものは難しいかもしれませんが、1つでも2つでも特徴を知っていれば、迷子になったとき発見への手掛かりになります」(矢川さん)

 ペットを飼っている皆さん「万が一」は明日かもしれません。早速、行動に移しましょう。

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