「拾って下さい」首輪にメッセージを付けた犬を保護 飼い主、断腸の思い?「切ない」「事情はあったろうが、遺棄はアカン」

渡辺 晴子 渡辺 晴子

「遺棄事件発生しました。
お名前はモカ君5歳の男の子。
首輪に付けられたメッセージから断腸の思いだった事が伺えます…」

熊本県宇城保健所(宇城市)に遺棄された犬が収容されたことを、X(旧Twitter)に投稿した動物愛護団体「アニマルアシスト千手」さん(@u06G34ahrvCapNt)。犬の首輪には、大きな鈴と飼い主が書いたと思われるメッセージの札が付いていたといいます。

「拾って下さい よろしくお願い(し)ます」
「名前はモカです。5歳です。ミックス犬」

そんなメッセージを目にした投稿主はこう気持ちをつづりました。

「しかし、家族を捨てるという選択肢は絶対に間違っています。
とても良い子のモカ。
きっと凄く可愛がってもらっていた事が分かるから、余計に切ないです…」

「可愛いがられていた分だけその子も辛いでしょうに」

投稿には、メッセージを添えられ棄てられたモカくんに心を痛める人たちからさまざまな思いが込められたコメントが寄せられています。

「ちゃんと見つけてもらえるように鈴も大きいのを着けてもらったのかな」
「すごく可愛がってもらってたんだ 切ないな」
「悲し過ぎる…」
「つらい、、、事情はあったんだろうが、遺棄はアカンよ モカ君、どうかまた幸せな家族に出会えますように」
「明日は我が身ですね。私や主人が何かあったら、うちの子達もそうされるのではないかと不安です」
「可愛いがられていた分だけその子も辛いでしょうにね 願わくば、そう言う動物達が少しでも減ってくれる世の中になって欲しいものですね」
「モカちゃんによい飼い主さんが見つかって、安心して暮らせますように。心から願っています。」

モカくんは、どんなワンちゃんでこれからどうなるの? 「アニマルアシスト千手」さんに聞きました。

人間の歩行に合わせて歩いてくれる利口な犬 新しい家族を募集!

──モカくんの保護の経緯を教えてください。

「熊本県美里町のB&G海洋センターで保護されました。その1週間前にも遺棄があった場所。モカの場合は保健所に保護される2日前には、センター付近の橋で目撃されていたそうです」

──メッセージ札を付けながら、さまよっていたのですね。そして、飼い主さんにかわいがられていたようだというモカくん。どんなワンちゃん?

「とてもお利口です。散歩する際もほとんど引っ張りません。人間の歩行に合わせ歩いてくれます。『モカ』と呼べば『な〜に?』と振り返ってくれたりも。しっかり自分の名前を認識していました。また『こっちだよ』『あっち行こうか』と呼び掛けると、しっかり反応して動いてくれます。日頃から声をしっかりと掛けてもらっていたのでしょう。かわいがってもらっていた証拠です。だから余計に、首についた札が切なく揺れ、音を鳴らしていました」

──モカくんは、今後どうなりますか…。

「本当ならば保健所から出して、里親募集をしたいのですが…私たち千手にはシェルターもありません。また中型犬を預かってくださる方もいません。ですから保健所に収容されたまま募集をかけていきます」

熊本のボランティア「保健所=死(殺処分)ではない」 遺棄はしないで!まずは行政に相談を

──今回のような遺棄のケースについて、思うことをお聞かせください。

「無責任な遺棄は絶対的に悪質以外の何者でもなく、罰せられるべきだと思います。一方で、モカの首元にあったお手紙から何かしらの問題がこの飼い主さんにはあったのではないかなとも感じます。とても大切にされていたのがリードを通して伝わりますし…きっと断腸の思いでそうしたのかもしれません。では、なぜ遺棄せざるを得なかったか…保健所=死のイメージがあり殺されると思ったのではないかと推測されます。確かに他県ではそれぞれの対応や考え、環境や状況が違うため一概には言えません。

しかし、現在、熊本では保健所=死(殺処分)ではないことを知ってもらいたいです。私たちボランティアがいます。新たな飼い主、里親さんの募集など絶対に幸せにつなげ、素敵な第二の犬生を送らせてあげます。まず何かあった時の相談する場所と知ってもらえていたら、また違った選択をしてくれたのではないかなと思います」

──全国的にも犬猫など動物の遺棄が増えているようですね。

「はい。最近は犬もですが子猫をビニール袋などに入れて棄てる事案も増えてます。消えそうな乳飲み子の命をミルクボランティアは寝ずにつなげています…」

──犬や猫などを飼っている方にメッセージを。

「私たち団体は保健所の訪問や里親募集、動物愛護の啓発活動などに取り組んでいます。主に保健所に収容された犬たちをメンバーが楽しそうに散歩をする場面を動画に撮ってSNSに投稿することで、新たな家族を探すのはもちろん、開かれた保健所をPRしているところです。ペットショップで買う命ではなく、保健所から救う命の選択が当たり前になってほしいと思っています。

もしお知り合いやご近所に犬猫などを飼い続けることに不安な方がいらっしゃったら、遺棄だけは絶対に行わないようにご助言をお願いします。家族だった子を捨てるという選択肢だけは選ばないでください。まずは必ず、行政にご相談ください」

飼い犬や猫などの遺棄。2020年6月に施行された改正動物愛護法により、飼い主がペットを捨てた場合、これまで100万円以下の罰金刑だけでしたが、1年以下の懲役刑が加わり、厳罰化されました。犯罪です。大切な命を捨てないでください。

「アニマルアシスト千手」ホームページ

「アニマルアシスト千手」さんのInstagramアカウント(@animal_assist_senju)

Facebook「アニマルアシスト千手」

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