私たち人間は、いい思い出や嫌な思い出など、いろんなことを記憶することができますが、猫はどうなのでしょうか。もしかしたら、あの小さな頭の中にいろんな記憶が刻まれているのかもしれません。京都大学で猫の心の動きを研究しているチーム「CAMP-NYAN(キャンプニャン)」の一員、高木佐保先生に伺いました。
◇ ◇
■猫の記憶力を調べてみると
-猫にも記憶力があるのでしょうか。
「猫に記憶力があるのかどうか、ある実験で調べてみると、猫にも記憶力があることが分かりました。1匹の猫にエサの入っているお皿AとB、食べられないものが入っているお皿、何も入っていないお皿、全部で4つのお皿を見せ、Aのお皿からエサを食べさせました。猫はBのお皿のエサも欲しがったのですが、飼い主さんが『食べてはいけない』と妨害し、いったんお皿を下げたんです。15分後、猫にBのお皿を見せると、猫はBのお皿にエサが入っていたことを覚えていて、Bのお皿へと向かっていきました。『このお皿には、エサが入っていた』と記憶しているのです」
(続けて)
「エサだけでなく、人のこともよく覚えていて、数日間会っていなかった飼い主さんのことや数ヶ月離れていた家族のことも記憶していると考えられています」
■どんなことを覚えているの?
-記憶にもさまざまな記憶がありますが、猫にはどんな記憶が残っているのでしょうか。
「記憶には大きく分けて2種類の記憶があります。ひとつは、わたしたちが『昨日の朝、何を食べたの?』と聞かれたときに『ベーコンエッグと味噌汁』と思い出して答えられるように、意識しなくても覚えていられる記憶です。もうひとつは、積極的に覚える記憶、専門用語では『学習する』と呼ばれる記憶があります。学習による記憶は、ネコだけでなく、ヒトを含め多くの動物にみられるのですが、なんらかの出来事と、その出来事が起こった結果を結びつけて覚えているんです。