昭和世代のサプリ・肝油ドロップ 懐かしい思い出にネット沸く 「園児同士で闇取引」「同じことやってた」

金井 かおる 金井 かおる

 昭和世代には懐かしいサプリメント「肝油ドロップ」が7月下旬、SNSのトレンドワードとして注目されました。きっかけはあるユーザーが投稿した白い粒の写真。ネット上では「肝油ドロップなつかしい」「小学校の給食で配られた」「藤子不二雄Aの『まんが道』にも肝油の話あったよね」など、幼少期の記憶を呼び覚まされた人が続出しました。

「園児間で闇取引の材料に」「身に覚えある」

 1911(明治44)年から製造販売を始めた老舗メーカー河合薬業のサイトによると、肝油ドロップとは、ビタミンAやビタミンDを摂取する目的で開発されたゼリー状のドロップ剤のこと。給食時などに配る幼稚園や小学校も多く、白くざらっとした糖衣とゼリーのような食感は子どもたちに人気でした。

 イラストレーターのヤマザキミコさんも思い出を持つ一人。通っていた保育園での出来事を自身の公式X(旧ツイッター)に投稿すると、ユーザーから1.7万を超えるいいねが集まりました。

 「肝油ドロップって保育園のおやつ時に配られたが、食べずにとっておいて園児間で闇取引の材料にされている事が発覚したため、以後は保育士が匙で一粒ずつ口に入れて回る形式になったのだった」(ヤマザキミコさん投稿から引用)

 ヤマザキミコさんに話を聞くと、取引の内容までは記憶が定かでないようで「具体的な内容までは聞いたような、聞いてないような…。保育士さんから『一部の子がそういうことに使っているようだから、肝油の配り方をおやつの皿に配る方式から、先生がスプーンで一人一人直接口に入れる方式に変えます』という趣旨の説明を受けたように思います」(ヤマザキミコさん)。

 SNSユーザーの中には首謀者側だったという人も多く、「貯めた肝油ドロップをちらつかせて子分を動かしてた」「5日分貯めておいて、まとめて食べてうらやましがられた」「身に覚えがある」「これと同じことやってた」「うちの幼稚園は牛乳瓶の紙のふたで取引してた」などの体験談が披露されています。

 「私は特にそういう知恵の働くタイプの子どもではなかったので、闇取引と聞いて『あ、頭いいな』と思いました。厳格に管理されていたのは、一日の摂取用量が決まっていたからだったんだと知ったのはだいぶ後になってからです」(ヤマザキミコさん)

 似た経験をした人が全国各地にいることに驚いたようで、「同じような経験をされた方が他にも結構いたり、このやりとりを経済学的な見方でツイートされている方もいたり、興味深かったです。年代も育った地域もさまざまなのに、どこにでも似たようなことを考える子はいるんですね」と感心しきりでした。

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 肝油ドロップは現在も、複数のメーカーから販売されており、薬局やドラッグストア、オンラインショップなどで流通しています。銘柄によってバナナ、オレンジ、ラ・フランス、メロンなどさまざまな風味があります。

 ちなみに河合薬業のサイト内では、「肝油ドロップを多く服用しても大丈夫ですか?」という質問に対し、「缶や説明書に記載しております『用法用量』『摂取方法』等を正しくお守りいただきますよう、お願いいたします」と注意書きがあります。くれぐれもご注意を。

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