最近、SNSで「国鉄時代、または1990年代の鉄道旅行が良かった」という投稿を見かけます。私は国鉄時代は知りませんが、1990年代は子どもとして鉄道旅行をしました。その経験を踏まえると、私は「今の方が鉄道旅行は楽しい」と断言できます。もちろん、子どもと大人という体力差を考慮してもです。なぜ、1990年代よりも今の方が「よい時代」と言えるのでしょうか。
車内の和式トイレはつらかった
「1990年代よりも今の方が絶対に良い」と断言できる理由はトイレです。1990年代の駅のトイレは多くが和式だったと記憶しています。個室は狭く、汚いトイレも少なくありませんでした。また、床が水で濡れているにもかかわらず、荷物を置く台がなく、苦労した覚えもあります。
列車内のトイレも和式が主流。快速や普通列車に使われる一般の新型車両も和式が多かったです。自宅のトイレは洋式であり、和式には慣れていませんでした。車内のトイレは揺れることもあり、トイレは我慢していました。
一般社団法人・日本レストルーム工業会の調べによると、1980年代後半には、和式トイレの出荷は全体の20%を切っていました。子ども心ながら、「デパートのトイレは綺麗なのに、鉄道の駅や列車のトイレは汚くて古いからイヤ!」というイメージがありました。
2000年代に入ると、洋式トイレを備えた一般型車両が続々と登場しました。2010年代から駅でも洋式トイレが普及し、だんだんきれいになっていきました。
個人的には2012年度から行われた大阪市営地下鉄(現Osaka Metro)の駅トイレのリニューアルが印象に残っています。リニューアル後、どれだけ地下鉄のトイレに助けられたか、わかりません。
昔の夜行列車は基本眠れない
現在、定期の夜行列車は「サンライズ出雲・瀬戸」(東京~出雲市・高松)のみです。かつては関西からも昔ながらの寝台夜行列車が運行されていました。札幌行きの「トワイライトエクスプレス」のような豪華な寝台列車もありましたが、多くの寝台列車は上下2段ベッドでカーテンのみという「開放式B寝台」車が主流でした。
今となってはロマンのある開放式B寝台車ですが、出張では利用したくはありません。最大の理由は単純に眠れないからです。
まず、停車時と発車時に客車独特の揺れで目が覚めます。そして、客車と客車との連結部からの音もなかなか厄介。しかも、音を遮るのはカーテンのみのため、雑音の中で寝るようなものです。正直、今でもあの環境下で熟睡できる自信はありません。
1990年代ですら、開放式B寝台の寝台料金は6000円台でした。1990年代当時でも、ビジネスホテルやカプセルホテルは数多くあり、宿泊料金は開放式B寝台の寝台料金とそれほど変わらず、開放式B寝台はコスト高になりました。国鉄時代の客車を使った寝台列車が1990年代に次々に廃止になった背景は、大人の今になれば十分理解できます。
きっぷを買うのが手間だった「みどりの窓口」
1990年代、特急券や指定券は最寄駅にある「みどりの窓口」で購入していました。オンシーズンになると、窓口前に長蛇の列ができ、新幹線の乗車券、指定席特急券を買うだけでも、自分の番まで30分以上も要したこともありました。
現在では、気軽に自宅で特急券や指定券を購入でき、チケットレスも普及しています。周りに気遣うことなく、購入できることで、鉄道旅行に付きまとっていたストレスが減りました。
このように見ていくと、体力がある成人、青少年は30年前であっても、鉄道旅行を十分に楽しめたと思います。しかし、体力がない子どもや高齢者にとってはストレス要因が少なからず存在したことも事実です。
現在は2006年のバリアフリー法の制定もあり、以前と比べると、鉄道会社は細かな点にも目が届き、子どもや高齢者も鉄道旅行しやすい環境が整いつつあると思います。
一方、長距離きっぷや特急券を発行する自動券売機は子どもや高齢者は使いづらいなど、まだまだ改善が必要な箇所もたくさんあります。個人的には、体力に自信がある人だけでなく、みんなが旅行が楽しめる社会を望みます。