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「これどこで買いました?…こんな切符は存在しません」車掌から告げられた“衝撃の事実”にネット騒然 民俗学者が遭遇した「お化け切符」

そんでなライターズ そんでなライターズ

本来は特急が走行していない区間の“特急券”がなぜか誤って発行され、気付かずに乗車していたところ「こんな切符は存在しない」と車掌に呼び止められた…というエピソードが実際の切符の写真と共にXに投稿され、「これはレアすぎる」「お化け切符だ…」などと思わぬ反響を呼びました。

投稿主は、高崎経済大学地域政策学部で民俗学ゼミを担当する鈴木耕太郎さん(@tcuek_suzuki)。切符を購入してから車内で指摘を受けるまでの一連の流れについて、後日談を含めて話を伺いました。

今回投稿された出来事は、鈴木さんが学生たちとゼミ合宿へ向かう道中に起こったのだそう。毎年のゼミ合宿は学生たち主導で行き先を決めるそうで、鈴木さんは告げられた行き先までの切符をネットで調べた後に窓口で購入したのみで、詳細なルートなどはほとんど調べていなかったといいます。

「今回のゼミ合宿の行き先は、三重県の二見浦でした。高崎駅からは、まず東京駅まで新幹線「とき」に乗車し、そこから「のぞみ」へ乗り換えて名古屋駅を経由して、快速「みえ」に乗って目的地の二見浦駅まで向かうことになります。ネットで路線検索をしたところ、こちらのルートが提示されたので、これをそのまま駅の窓口で伝えて切符を発行してもらいました」

このとき、鈴木さんは全ての切符を「自由席」として購入したそう。すると、本来は名古屋から二見浦の区間には特急列車は走っていないにもかかわらず、なぜか「自由席特急券」として発券されてしまったのだそう。しかし二見浦について土地勘のなかった鈴木さんは、「自由席特急券」と書かれた切符を見ても、「こういうものか」と特に違和感を覚えなかったと当時を振り返ります。

そんな鈴木さんが異変に気づいたのは、車掌が検札に回ってきた時でした。隣に座っていたゼミ生の切符はスムーズに確認されたものの 、鈴木さんの切符を見た車掌は、明らかに動きを止めてじっと見つめていたそうです。

「車掌さんに『これどこで買いました?』と質問され、最初は『不正乗車を疑われているのかな』と焦りを感じました。一瞬、何が起こっているのかわからず、『え?どういうことですか?』と混乱しましたね。しかし、車掌さんから『こんな特急は走っていませんよ。なので、こんな切符は存在しないんです』と指摘を受け、ようやく誤発行された切符なのだと理解しました」

その後、車掌からは、誤発行された切符を購入駅に持っていけば多く支払っていた特急券分の1500円を返金されることを説明され、二見浦駅へ到着後もスムーズに下車できたそう。

こうした一連の出来事について鈴木さんがXに投稿したところ、ご本人がユニークな神格・信仰の研究をしていたことから、「民俗学者が都市伝説に遭遇しているみたい」と想定外の大きな反響を呼ぶこととなったのです。鈴木さんは牛頭天王(ごずてんのう)という、中世から近世にかけて日本各地で信仰されていた存在を20年以上研究しており、最近ではその研究結果が書籍にもなりました。

バズった当初は、1500円多く払ってしまったことで「損した」という気持ちが大きかったと明かす、鈴木さん。「実はゼミ合宿中、二日目には愛用していた鞄のファスナーが弾けて壊れ、さらにその翌日は折りたたみ傘が壊れるなど、トホホ…となる不運が続いたんです。学生からは『何かが憑いているんじゃないですか』と突っ込まれました」と笑います。

「その場で投稿していたので、ゼミ合宿中にバズる事態に…。学生たちは私のポストが伸びるたびに『おめでとうございます!』と言ってくれるのですが、“バズると祝福される”文化があると知らなかったので、正直不思議な感じでした。ただ、学生たちにも『この先生知ってる?』と知り合いから連絡が届くなどしたそうで、みんな盛り上がっていたので良いネタになったようで良かったです」

ちなみにゼミ合宿から1カ月以上が経った現在、鈴木さんはまだこの切符を換金していないといいます。

「当初は1500円多く払ったことが惜しかったのですが、ここまで話題になると『1500円の損よりも面白い経験ができた』と考えるようになりました。すぐに返金しなくても問題ないと聞いたので、しばらくは記念品として手元に残しておこうと思っています」

今回の経験を通じて、鈴木さんは教訓として切符購入時の注意点を次のように話します。

「土地勘がない場所へ行く際は、ルート・料金・特急区間の3点は最低限、確認しておいた方が良いと改めて感じました。今回私は、行きはすべて『自由席で』と注文したのですが、帰路については『名古屋―東京間の新幹線のみ“自由席”でお願いします』と窓口で伝えました。東京―高崎間はもしかしたら学生と一緒に鈍行で帰るかも…、と思ってのことです。そのため、帰路分については二見浦―名古屋間の特急券もありませんでした。ただ、そうした変則的な買い方をしてしまったので単に片道料金×2という内訳にならず、料金の違和感に気づくことができなかったんです。切符の料金とあわせて、金額の内訳が正しいか、という点も確認しておくと良いかもしれません」

▽鈴木さんの著書
『牛頭天王信仰の中世』(Amazonのページへ)

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