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100万円の返済催促書にパニックの依頼人「相続放棄したんです!」弁護士「裁判所に申述しましたか?」依頼人「えっ……」【漫画】

海川 まこと 海川 まこと

司法やそれに準ずる正式な書類は、人々を守るための大切なものです。しかし、正しい手続きを知らないままでいると、とんでもない事態に巻き込まれることもあるようです。弁護士として日々活動している漫画家・弁護士のたぬじろうさんの作品『知るほどヤバイ 知らないともっとヤバイ 法律の闇』内のエピソード『相続放棄』では、借金についての事例が描かれています。同作はX(旧Twitter)に投稿されると、約5300のいいねが寄せられました。

ある日、23歳のコアラのもとに、亡くなった父の相続人として「7日以内に98万円を返済してほしい」という催促書が届きます。驚いたコアラは、早速弁護士のもとへやってきました。彼は弁護士に、半年前に「私は相続放棄したんですよ」と必死の形相で訴えます。

弁護士は「相続放棄は裁判所にしましたか?」と尋ねると、コアラはしていないと話しました。実はコアラの話す相続放棄は、コアラの兄が借金も含めてすべて相続する旨が書かれた『遺産分割協議書』に、兄と自分の名前も記名した書類でした。

それを聞いた弁護士から、「それは相続放棄ではありません 借金を相続してしまっています」と衝撃の言葉を告げられます。

相続放棄には家庭裁判所に申述が必要であり、また相続があることを知ってから3カ月以内に届け出が必要です。現在、父の遺産分割からすでに3カ月以上過ぎており、コアラも債権者となっているため支払義務から逃れられないと弁護士は告げました。

後日、コアラは借金をすべて背負うと言ったはずの兄に詰め寄ります。実は兄は、ギャンブルに遺産をすべて注ぎ込んでしまっていたのでした。弁護士から「当時債権者から承諾を受けていればコアラさんに責任はなかったんですが…」とさらに傷口に塩を塗られたところで物語は幕を閉じます。

読者からは「知らずに借金相続しているとか怖すぎる」「知らなかったから勉強になった!」などの声が挙がっています。そこで、作者の弁護士のたぬじろうさんに話を聞きました。

同作のような相続放棄できていないケースは非常に多い

―弁護士のたぬじろうさんは実際に弁護士として勤めているとのことですが、同作のようなケースは多いのでしょうか?

多いですね。相続放棄をしたと相談者から聞くと「相続放棄というのは、裁判所に申述しましたか?」と毎回確認したくなる程度に。

「相続放棄」という語感が原因の1つだと思うのですが、「遺産を相続できる権利を放棄して、他の相続人に譲った」ことも「相続放棄」だと誤信されているのです。しかし、「遺産を相続できる権利を放棄して、他の相続人に譲った」としても、それは相続放棄ではありません。この場合、借金は相続してしまうので、気をつけないといけませんね。

―同作のような状況となってしまった場合、コアラさんは借金から逃れることはできないのでしょうか?

結論としては、借金を逃れる絶対的な方法はありません。一応、今からでも相続放棄を裁判所に申述するという方法は考えられます。相続放棄の手続きにおいては、裁判所は相続放棄が有効にできるか否かについて、入念な審理を行うわけではないからです。つまり、本件のようなケースであっても、裁判所は相続放棄の申述を受理してくれる可能性が高いです。

ただし、相続放棄が【受理されたこと】と、相続放棄が【有効であること】は別の問題です。相続放棄が裁判所に受理されていたとしても、裁判で覆されることがあるということですね。

本件では相続放棄は本来できない状態にありますので、相続放棄を改めておこなったとしても、裁判で覆される可能性はあると思います。

―同作のコアラさんのようにならないために、法律を知ることにおいて大切なことを教えてください

相続放棄という一見単純そうな手続きであっても、思わぬ「落とし穴」があります。これは相続放棄に限らず、法律全体について、よくあることです。法律を知るということが一番の対策となりますが、多くの方にとって、それは難しいですよね。法律ってとっつきにくいですし、勉強する時間も中々とれないでしょうから。

そんな方々に少しでも分かりやすく法律知識を届けたいと思い、漫画を描いています。「知るほどヤバイ 知らないともっとヤバイ 法律の闇」はそんな事例を集めた書籍です。他にもX上で4コマ漫画を公開しています。よければ見てやってください。

<弁護士のたぬじろうさん関連情報>
▽X(旧Twitter)
https://x.com/B_Tanujiro
▽Instagram
https://www.instagram.com/b_tanujiro/
『知るほどヤバイ 知らないともっとヤバイ 法律の闇』
▽KADOKAWA
https://www.kadokawa.co.jp/product/322501000262/
▽単行本(Amazon)
https://www.amazon.co.jp/dp/4046847514
▽電子書籍(Amazon)
https://www.amazon.co.jp/dp/B0FC1NX42V

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