40代前半の男性Aさんは結婚から数年間、妻とともに不妊治療を続けてきました。子どもを授かりたいという願いを共有し、2人3脚で歩んできたつもりです。
ところが最近、妻がやたらとスマホを手放さない様子に違和感を覚え、ふと画面をのぞき込んだところ、別の男性とやりとりしているメールを発見したのです。とっさに履歴を撮影しましたが、頻繁に履歴を削除しているのか、やりとりは途中で途切れていました。
Aさんは妻が別の男性とメールをしていたことよりも、その中身にショックを受けます。それは、不妊治療の投薬スケジュールを相手に共有し、妊娠する可能性が低い時期を狙って密会を計画していたのです。夫婦旅行の最中もやりとりを続け、性的なメッセージまで送り合っていました。
メールを見られたことを知らない妻は、「不妊治療これからどうしようか」と何食わぬ顔で言い出しています。Aさんが持っている不倫の証拠は、メールの画像のみです。離婚を決意したAさんは、すぐに離婚を切り出すべきか、もしくはもっと証拠を集めるべきなのでしょうか。原一探偵事務所の解良洋道さんに聞きました。
「泳がせる」のが正解?離婚を決めた夫がやるべきこと
ースマホ画面を撮影したメール画像は、裁判や慰謝料請求の場で証拠として有効に機能するのでしょうか。
あくまで状況証拠としては、手掛かりにはなるかと思います。しかし「冗談だった」などと言い逃れされるリスクはありますし、そもそもメールをどのように見たのか、「違法に収集された証拠」とみなされ問い詰められてしまうケースもあり得ます。
当然、ロックを解除して見たものは、証拠としては採用されないこともあるのではないかと思います。法的トラブルとしては、プライバシーの侵害、不正アクセス禁止法違反となる恐れがあります。
ー相手が履歴を毎日消していることが想定される場合、有効な対策はありますか。
スマホを見て得た情報はあくまで補足的なものであることから、日々の行動をメモしておくなどして、その記録の中で調査日、時間を絞り込んでいくことが望ましいです。
またSuicaなどの履歴、ETCの履歴、カーナビの検索履歴、クレジットカードの使用履歴なども集めておくと有効になってきます。
ー「泳がせて証拠を積む」作戦のリスクとメリットを教えてください。
一番のリスクはご依頼者の方の精神的な苦痛が続いてしまうことです。また軽い口喧嘩から、色々と問い詰めてしまい、証拠を隠滅されることがあります。
メリットとしては、対象者がまさかご依頼者が警戒しているとは思わず、行動も大胆のままであり、証拠が掴みやすい、また頻繁に会っていることも確認出来れば「継続性」を証明することもできるため、より悪質と判断され、ご依頼者に有利な状況となります。
ー探偵に依頼するベストなタイミングはいつでしょうか。
何も問い詰めなどしていない、今までと何ら変わりのない生活をしている状況がベストです。
ご自身で動くのはおすすめしておりません。一度警戒されてしまうと、証拠の隠滅、会う回数を減らされる、警戒行動が強く尾行に影響が出てきてしまい、最悪尾行出来ない状況にもなり得ます。
ー素人が証拠収集で絶対にやってはいけないことは何ですか。
一番は感情的になり問い詰めてしまうことです。お気持ちはわかりますが、証拠を持っている、持っていないでは大きく状況が変わってしまいます。
とはいえ、パスワードを突破してスマホを見たり、監視アプリのようなものを入れたり、ご自身や友人を使って張り込み、尾行をしたり、独自で無理な証拠集めをしないようにしましょう。このようなことをすると法的リスクもありますし、気付かれてしまっては 、取れていたであろう証拠も取れなくなります。
◆解良洋道(けら・ひろみち) 探偵
1997年に原一探偵事務所へ入社。現場の第一線でキャリアを築き、現在は調査部門全体を統括する部長を務めています。勤続30年、1万件以上の案件に携わってきた今なお自ら現場に出動する、まさに現場主義の「たたき上げ」として、数々の困難な調査を解決に導いています。