tl_bnr_land

幸せそうな既婚者や家族を見るたびに…「人生詰んだ」「自分は負け組だ」と落ち込む35歳独身 夜も眠れず仕事中も「死にたい」という思考から抜け出せません【精神科医が解説】

長澤 芳子 長澤 芳子

会社員のAさんは、35歳で独身の実家暮らしです。周りの人が結婚し家族を持ち始めるなか、ふとした瞬間に自分の将来が不安になりました。

現状を変えようと、体力をつけるためにジムに通い、自立できるように生活費の見直しにも着手しました。しかし努力を重ねるほど気持ちは楽になるどころか、かつてないほど落ち込むようになっていきました。

特につらいのは、ネットで既婚者や子どものいる人の投稿を目にするときです。幸せな投稿を見るたびに、自身や周りへの強い怒りと「自分は負け組だ」という劣等感が押し寄せます。その結果、楽しかった趣味も楽しめなくなり、夜は眠れず、仕事中も「死にたい」「人生詰んだ」という思考が頭をぐるぐると巡るのでした。

しかも、この悩みを家族に打ち明けると「そういう人は今の時代たくさんいる」と笑い飛ばされ、孤独感はさらに深まってしまいます。こうした状態のとき、心療内科などに相談することで解決に向かうのでしょうか。精神科医のはぐりん先生に話を聞きました。

「死にたい」「自分が悪い」が頭から離れないのは危険サイン

ー受診を迷っている人に対して、「この状態なら一度相談してもよい」と言えるサインはありますか。

1つの目安として、普段ならできているはずのことができなくなった、という事が挙げられます。Aさんのケースの場合、夜眠れない、趣味を楽しめない、思考がループして集中できない、といった事が当てはまります。

他には、部屋が片付かず放置されている、最近だと風呂キャンセル界隈といった言葉もありますね。普段キレイ好きで行き届いている方がこういった状態になってきた場合には注意が必要です。

これらは「うつ症状」に該当しますが、こういった状態がおおよそ2週間以上続いた場合は1つの受診の目安となります。

それとAさんのケースで見過ごせない点として、「激しい怒り」「死にたい」「自責の念」があることです。これらもうつ症状に該当するのですが、やはり普段の自分とは違う状態に陥っており、より重度のうつ症状とも言えるので、必ず受診を薦めます。

ー「自分は負け組だ」といった思考が繰り返され、抜け出せない状態は、うつ状態のサインと考えられますか。

心理学ではこうした状態を「反芻思考」と言います。いわゆるぐるぐる思考と呼ばれる状態で、広くとらえるならば、頭が回らない、思考が止まっているような状態(思考制止)を指します。

うつ症状の1つではありますが、それだけで即うつ病となるわけではなく、やはり受診をしてもらい、うつが原因なのかどうかを判断します。今回のケースの場合は、絶望感を伴うような否定的な内容の思考のループが見られているため、うつ状態によってそうなっている可能性が高いと思われます。

またそれとは別に、もしかすると元々極端な思考の偏りがある方なのかもしれません。(うつ状態とは関係なく)普段からそういった認知の歪みが多少なりともあるなら、そういった部分も客観視し修正できるよう、専門家の意見を仰ぐ必要があるように感じます。

ー家族に深刻さが伝わらず、「気にしすぎ」と受け取られてしまう場合、本人はどう対処すればよいですか。

こうした状況の中、1番近くにいるはずの家族に理解してもらえないのはつらいですよね。ただ実際に受診される方の中で、同じような状況の方は少なくありません。

それは世代間の考え方の違いであったり、性差であったり、人それぞれ個人で精神的な不調に対する捉え方が違うからです。1人で躍起になってその違いを埋めようとしても中々理解が得られないばかりか、返って衝突してしまったり、今回のように「気にしすぎ」と流されてしまったりします。

それほど他人の考えを変えて理解してもらうというのは難しいのです。そこで提案としては、家族にも一緒に受診してもらい、専門家の意見を聞いてもらうという事です。

それが難しければ、信頼のおける第三者の意見を一緒に聞いてもらう事です。一緒に話を聞いてもらうだけでもいいですし、その上で診断名が付いたり、場合によっては休職しなければならないとなった場合、家族にも関わってきますので、メンタルヘルスに対する考え方も変わってくるかと思います。

◆はぐりん先生 精神科医
精神保健指定医、精神科専門医、産業医。目下の興味は、発達障害、親子の関係性について。noteにて情報を発信中。
▽note
https://note.com/clean_orchid568
▽書籍『あなたの親は毒親ですか?: 隠れ毒親の本質に精神科医が迫る』(Amazon)
https://amzn.asia/d/0b3MuS0Y

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース