「88歳、要支援2の父がおにぎりを作ってくれました」
そんな言葉とともに投稿された、ずっしりと米の詰まったおにぎりの写真。投稿主は、介護職として14年の経験を持つ小川さん(@vvtaka0423vv)です。本来、日常生活に一定の支援が必要な「要支援2」という区分にありながら、驚くほど活動的な父。そんな父が作った愛情たっぷりのおにぎりの写真に、「美味しそうなおにぎり」「自分の子供はいくつになっても自分のかわいい子供なんですよね」と共感の声が相次ぎました。
介護保険制度における要支援2は、食事や排泄などは自立しているものの、立ち上がりや歩行に不安定さが見られ、掃除などの家事や身の回りのことに一部支援が必要な状態を指します。
小川さんのお父さんは家族から「回遊魚」と呼ばれるほど、じっとしていることがありません。クリーニング店で職人として長らく働き、仕事を引退した現在もじっとしていることが苦手なのだとか。88歳という年齢から、家族は「ゆっくりしていい」と思うそうですが、「(本人には)その選択肢がないようだ」といいます。
「父は中卒でずっと働いてきた人。心不全で入院する3年前までは、埼玉から池袋への週2回の通勤に加え、週3回は自転車で老人ホームの食事作りへ通い、合間には畑仕事もこなす超多忙な毎日でした。現在も、夕食の片付けを毎日欠かさない現役ぶりです。私は介護職をしていますが、自分の担当の利用者さんたちに比べて元気だな…と。実際、父はゆっくりできないんですよね」
「かたーく握ったおにぎりで、大きさの割には米が詰まっています」と語るように、今回話題になったおにぎりにも、そんな父の職人気質が表れていたそう。
「海苔はパリパリで食べられるよう別添え、中身は昆布の佃煮。あえて塩を振らず、米がぎっしり詰まった固い握り方には、家族を養い続けてきた父の力強さがそのまま表れている気がします。母のおにぎりも同じで、我が家のおにぎりは硬く米の量が多いのが特徴なんです」
「危ないから止めて」と言いたいけれど…専門職ゆえの葛藤
小川さんは普段、ケアマネジャーとして多くの高齢者やその家族を支えています。仕事では利用者に「無理せず、ゆっくりしましょう」と助言する立場ですが、自分の親となると話は別です。
「正直、持病のことを考えるとハラハラしますし、娘としては『もう休んでいいんだよ』と言いたくなる。家の中で転倒しないか、自転車で事故に遭わないか…。仕事なら冷静にリスクを分析できるのに、父を前にするとつい感情的になり、『危ないからやめて!』と強く言いそうになる自分もいます」
それでも、小川さんは父の「動きたい」という意思を尊重しています。
「いつどうなっても大丈夫なように、準備だけはしています。そういった葛藤がわかるので、利用者さんのご家族が限界だったり、感情的になったりすることも理解できるんです」
今回の投稿には、多くの共感の声が寄せられました。そうした反響を受け、小川さんは親の介護や支援に悩む人たちへ、次のように話します。
「高齢者は、守られるだけの立場ではありません。社会の役に立ちたいと思っている方もたくさんいます。家族がその思いを尊重して良好な関係のままでいるためにも、介護はプロに頼ってほしい。それは見捨てることではなく、家族が家族として、良好な関係のままでいるためのポジティブな選択なんです」