販売員の安全確保の徹底を
今回の件に対して、生物学的女性である「販売員」と「客」の安全を守るための厳正な基準を「企業」に求める声も多く寄せられた。
「私自身が”企業”に勤めていたからこそわかるのですが、外部が考えるよりも、本社はスタッフを守ることに敏感です。確かに現場の判断に委ねる場面も多いですが、多くの企業には、『これをしたらスタッフを守り切れない』という明確なラインがあります。
もし、企業側に改めて考えていただけるなら、SNS対策として、『販売員には接客上の偽名(仮名)を使わせる』『本人が希望しない限り、顔出しは出来る限りさせない』という2点は徹底してほしいと思います。
そして、すでに実施されているかもしれませんが、男性客(女装であっても)が入店をした際はすぐ警備員を呼ぶようにする、監視をしてもらえるようにする、などの対応を統一化していただきたいです」(ちーちょろす 下着の魔法使いさん)
「ジェンダー問題」に対する、国からの明言が必要
また、こういった「ジェンダー問題」については、まずは「国」による明確な基準が必要だと言う。
「もちろん企業として、接客対応するお客様は『生物学的女性のみ』という声明を出していただければ嬉しいですが、現在、国自体がジェンダー問題をあやふやにしており、そんな中で企業側が基準を決め切るのは、現場にも負担がかかる場合があると思います。
店頭に男性スタッフを置くことも、トランス女性向けブランドを作ることも、企業側の負担になるばかりで解決策にはほど遠く、やはり国が『トランス女性を女性と認めない』と明言することが必要で、その上でやっと企業は安心して声明を出せると思っています。ちなみに、ワコールさんも含め、女性用インナー売り場の試着室に入れるのは基本『女性』のみです。トランス女性は含まれません」(ちーちょろす 下着の魔法使いさん)
「試着室内での男性のお客様へのフィッティングサービスは実施していない」
さらに、「女性用の下着は、基本的に『女性の骨格』に合わせて作られているので、女性ホルモンを投与していても、骨格が違えば合わないんです。特にサイズの対応がそもそも難しいです」と、ちーちょろすさん。
「女性であっても、(多くの女性の身体を)研究した上でのフィッティングを受けて初めて自分に合うものが見つかるくらいですが、トランス女性の方のフィッティングについては、まだ研究や対応が十分ではないのが現状です。
そのため、一般的な女性下着専門店ではフィッティング対応が難しいです。『試着してみないとわからない』というお気持ちはわからなくもないですが、それならより一層、トランス女性の方向けに作られたブランドや専門店の商品やサービスの方が適していると思います。
身体に合わない・生物学的男性へのサービスが提供されていないにも関わらずご来店される、ということは、パス度を見るために来ている要注意なお客様、という認識をされてもおかしくありません」(ちーちょろす 下着の魔法使いさん)
(※パス度:他者から自認の性別が認識されるかの度合いのこと)
ちーちょろすさんは以前にも、同様の件に対する見解を自身のYouTubeチャンネルでわかりやすく解説している。
同件について、弊社が株式会社ワコールに取材を行った際(2024年11月)、ワコール広報部からは、「従来から当社グループでは、女性インナーウェア売場における試着室のご利用は女性のお客様に限らせていただいております。試着室内でのフィッティングサービスについても女性のお客様に限らせていただいており、試着室内での男性のお客様へのフィッティングサービスは実施しておりません」との回答があった。