自閉症画家として活動するらび(@r_aww27)さん。TikTokに投稿した「これは自閉症の特性なのでしょうか?」と題した絵画制作の動画が80万再生、1.4万いいねを集めて話題です。”画家”として活動していくために、本当は苦手なSNSでの発信も続けているというらびさんに、話を聞きました。
「私には、生まれつきちょっと変わった特技があります」というテロップから始まる動画では、らびさんがサインペン1本のみを使い、下書きなしでお城の絵を描いていく様子が映し出されます。迷うことなく描き進める絵は、細かな描写が特徴です。
「興味を持ったものは、写真みたいに記憶できるんです。反対に興味がないものは、まったく覚えることができません。夢の中や空想の景色でさえも覚えることができます」「でも、どこで見たのか思い出せないこともよくあって、このお城も気づいたら頭の中にありました」
動画では早送り再生されていますが、実際には3〜4時間かけて制作したというお城の絵は、緻密でありながらも立体感があります。「自閉症の特性なのでしょうか?」と呼びかけた動画には、同じような特性を持つ人からの共感の声や、「凄い才能」と絵画を称賛する声など、多くのコメントが寄せられました。
オンラインショップを開設し、原画やポストカードの販売を行なっているらびさん。絵の制作やSNSでの発信活動について、話を聞きました。
ーー絵の制作はいつ頃から始められましたか?
「物心がつく前から、自然と絵を描いていました。紙とペンがあれば静かにしているような子どもだったようで、絵は自分にとって呼吸のようなものでした。特に誰かに教わったというわけではなく、自分の内面と対話するように描き続けてきた感覚があります」
ーー昔から今と同じような完成度だったのでしょうか?
「完成度という意味では、今の方が上達しているとは思いますが、『描きたいもの』や『描き方の根っこ』は昔からあまり変わっていません。特別に練習をするということもなく、ただ描きたいときに描きたいものを、楽しんで描いてきました。意識的に訓練するというより、感情や衝動に従って描いてきた感じです」
SNSで発信を始めた理由と、現在の心の葛藤
ーーSNSでの発信やオンライン販売を始められたきっかけは?
「正直に言うと、『絵以外で生きていく人生』がまったく想像できませんでした。自分にとっては、他に選べる道がなかったとも言えます。好きなことで生きていきたいし、それによって誰かの心を動かすことができたら本望です。そのためには苦手なことーーたとえばSNSでの発信や販売などにも挑戦する必要がありました」
ーー発信活動を始めてよかったこと、大変だったことは?
「SNSでの発信は、正直とても難しく、悩むことも多いです。私はあくまで『芸術家』であって、『発信者』としての素質はあまりないと自覚しています。できることなら、やらずに済ませたいくらいです。たくさんの方に作品を見ていただき、評価してもらえるのはとてもありがたく、光栄なことです。ただ、発信を続ける中で『自分は何のために描いているのか』と目的を見失いそうになる瞬間もあります。
より多くの人に作品を届けたいと思えば、ある程度は一般的な価値観に寄り添った表現を選ばざるを得ない場面もあります。でも、つらい時期に、誰にも理解されなくても描いていた絵の方が、心に響いたり自分が強く出ていたように思えることもあります。
『芸術家』としての自分と、『発信者』としての自分。その2つの立場の間で葛藤することが多く、そのジレンマこそが、今、一番苦労している部分かもしれません」
1.6万人のフォロワーを抱えるらびさんのTikTok(@r_aww27)では、らびさんの脳内で記憶された浮遊都市などを描く様子や、絵を描きながら行うライブ配信を見ることができます。
【自閉症画家らびさんの関連情報】
◼️RABI ART GALLERY https://rabi27.base.shop/
◼️TikTok https://www.tiktok.com/@r_aww27