みなさんは、自身に介護が必要になった場合、誰に「介護を頼みたい」と思いますか。SOMPOケア株式会社(東京都品川区)が実施した「未来の介護」に関する調査結果によると、7割弱の人が「介護士・ヘルパー等の専門家」と回答したことがわかりました。その一方で、「自分の子ども」と答えた人は、わずか1割以下にとどまったそうです。
調査は、自身が介護を受けていない、かつ、自身の親が存命している全国の30代~60代の男女1000人を対象として、2024年7月にインターネットで実施されました。
まず、親世代の介護について「親子間(義父母を含む)で話し合ったことの有無」を聞いたところ、全体の78.8%が「話し合っていない」ことがわかりました。
一方、「話し合っている」と答えた割合を年代別でみると、両親の年齢も比較的若い「30代」で9.2%、年代が上がるにつれて割合は高くなっているものの、親の年齢が80~90代と考えられる「60代」(39.2%)でも4割を下回っており、突然訪れるかもしれない介護について、話し合いの機会が持たれることはまだまだ少ないという結果になりました。
さらに、「両親の介護方法」について、一定の見通しが立っている355人に尋ねたところ、「介護施設を利用する」(56.0%)や「自宅で介護サービスを利用して介護する」(33.6%)など、約9割が施設や介護サービスなどの利用を希望しており、「自宅で介護サービスを利用せずに介護する」(7.6%)は1割弱にとどまりました。
施設を利用すると答えた回答者からは「各自の生活をこなすため。本人の希望」(66歳女性)、「自宅は衛生面、居住性などにおいて不十分」(51歳男性)といった意見が寄せられた一方、介護サービスを利用しない人からは「サービスを使いたいが本人が拒否している」(56歳女性)、「自分ができるうちは親の介護は自分でしたい」(54歳男性)などの声も挙がりました。
他方、自身の介護方法について、意向がある程度決まっている460人に聞いたところ、こちらも「介護施設を利用したい」(71.9%)と「自宅で介護サービスを利用したい」(24.6%)などに回答が集まり、「施設および介護サービスを利用しないで家族に介護してほしい」(2.8%)と回答した人はごくわずかという結果になっています。
また、将来自身に介護が必要になった場合に「介護を頼みたい相手」を全回答者に聞いたところ、「介護士・ヘルパー等の専門家」(66.1%)が圧倒的に多くなりました。
その理由として「身内に負担をかけたくない」(65歳男性)、「プロの方が介護の仕方を知っている」(55歳男性)などの声が多くみられたことから、「配偶者・パートナー」は15.8%、「自分の子ども」では6.0%と少数派となり、ほとんどの人は自身の身内に介護をしてもらいたいと考えていないことが明らかになりました。
次に、「介護業界におけるデータ・テクノロジーの活用」について尋ねたところ、「聞いたことはあるがよく知らない」(25.3%)や「知らない」(68.2%)など、介護現場におけるテクノロジー活用は、まだほとんど知られていないことが明らかになりました。
また、車イスのまま入れる入浴装置やおむつ内の排泄状況が分かるシステム、睡眠状態を測定するセンサー、床ずれを防止する装置などのテクノロジーを取り入れた介護サービスについては、78.2%が「受けたい」(受けたい29.1%、どちらかというと受けたい49.1%)と回答。なかでも、自身で親の介護を担っている人(一部担っている人を含む)では、88.3%が「受けたい」と回答しています。
なお、「テクノロジーを活用した方がいい項目」に関しては、「排泄」(61.4%)、「睡眠」(60.6%)、「入浴」(59.1%)などが上位に挙がり、体力的な負担や衛生面だけでなく、介護する側とされる側双方にとって、センシティブな項目に回答が集まりました。