車を停止させる際、「駐車」と「停車」の違いを正しく理解していますか?どちらも車を止める行為ですが、正しく理解していないと、思わぬ違反を招くことがあります。誤解しやすいポイントを整理します。
駐車と停車の違いとは?
駐車と停車の大まかな違いは、以下の通りです。
・駐車:継続的な停止、運転者が車両から離れた状態での停止
・停車:すぐに出発できる状態での停止
一部の事由を除き「何分ならどっち」という時間の定義はありません。また停止の目的によっても、どちらに該当するかは変わります。両者の違いを正確に把握するには、それぞれの定義への理解が必要です。
▽【パターン別】駐車と停車の区別表
以下では、運転者がクルマを停止する複数の状況で駐車 / 停車のどちらに当てはまるかを示しています。
・待ち合わせ場所で人を待つ(相手が未到着) → 駐車
・5分を超えて荷物の積み下ろしを行う → 駐車
・クルマを停止し、トイレに行く → 駐車
・故障した車両を置いてその場を離れる → 駐車
・待ち合わせ場所で人を拾う(相手が乗ったらすぐ出発) → 停車
・駅などで人を降ろす(相手が降車したらすぐ出発) → 停車
・5分以内で荷物の積み下ろしを行う → 停車
それぞれの状況がなぜ駐車 / 停車になるのかは、次の定義の説明で確認してください。
駐車の定義を分かりやすく
駐車は、道路交通法で以下のように定義されています。
◇ ◇
車両等が客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障その他の理由により継続的に停止すること(貨物の積卸しのための停止で五分を超えない時間内のもの及び人の乗降のための停止を除く。)、又は車両等が停止(特定自動運行中の停止を除く。)をし、かつ、当該車両等の運転をする者がその車両等を離れて直ちに運転することができない状態にあることをいう。
※出典:道路交通法第2条第18項「駐車」
https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000105
◇ ◇
法律の文章で読むと難しく見えますが、簡単にまとめると、駐車に該当するのは以下の3パターンです。
・客(人)待ちや荷待ち、故障などでの継続的な停止
・5分を超える貨物の積み下ろし
・運転者がクルマから離れた状態での停止
「継続的」という表現に、厳密な定義はありません。ただし人待ちや荷待ち、故障への対処など「客観的に見てどれくらい時間がかかるか分かりにくいもの」が駐車にあたると考えられます。
【人待ちは短時間でも駐車】
道路交通法の条文を見ると、「人の乗降のための停止」は駐車に含まれません。しかし「客待ち」は、時間を問わず駐車と定義されています。客待ちはタクシーなどの客だけでなく、家族や知人など「人待ち全般」を指します。短時間でも相手が来るのを待つ状況なら駐車です。
停車の定義を分かりやすく
停車は、道路交通法で以下のように定義されています。
◇ ◇
車両等が停止することで駐車以外のものをいう。
※出典:道路交通法第2条第19項「停車」
https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000105
◇ ◇
駐車以外の車両等停止とは、つまり以下のような状況です。
・5分を超えない貨物の積み下ろし
・人の乗り降りでの停止
・すぐ運転できる状態でのごく短時間の停止
停車は「すぐに出発できる」ことが前提です。例えば待ち合わせ場所に到着済みの人を乗せてすぐ出発するなら、停車と扱われます。また、地図やナビで道を確認するためのごく短時間の停止も停車と判断される可能性が高いです。
一方で、人の乗り降りや5分以内の貨物の積み下ろしでも、運転者が喫煙やトイレで席を離れることがあれば、駐車となります。
【「5分以内なら停車」は誤り】
「5分以内なら停車」という解説を見ることがありますが、これは誤りです。先述の通り、貨物の積み下ろしを除けば駐車と停車に具体的な時間のルールはありません。