阪神近本が離島支援に注力 タッグを組んだのは気心知れた「高校の先輩」 異例の法人設立で話題に…今後の展開は? 法人代表の石井僚介さんインタビュー

小森 有喜 小森 有喜

現役のアスリートが活動する意味

ーーー野球選手が単発のプロジェクトではなく、こうして法人を立ち上げて活動するのは異例です

僕自身もずっとアスリートをしてきたので、現役中に何か違うことやる難しさは多少なりとも分かっているつもりです。LINK UPが近本の足を引っ張るようになってしまうと意味がない。彼に負担がかからないよう、うまくバランスをとってやっていきたいです。

阪神タイガースという12球団の中でもトップクラスの人気球団でたくさんの方が応援してる中で、 ファンを裏切るような結果に繋がってしまうと、僕も申し訳ないですから。本職で結果を残せるように僕が精力的にサポートしていきたいです。

ーーー今回の法人設立は、アスリートのキャリア形成のあり方としても注目を集めていますね

今、タイガースの顔として活躍している近本のような選手が、デュアルキャリアの道を切り拓いたという意味もあるなと思っています。「アスリートとして一番知名度が高い時に活動を始める」という近本の選択は、これからどんどん広まっていく可能性もあると思います。

一方、これで成績が落ちたら「そんなことしてるから調子悪くなるんや」というきつい言葉が飛んでくることは本人も覚悟しているはずです。ファンの方がそう言いたくなる気持ちは分かるんですけど、 やっぱりスポーツ選手も皆さんと同じ1人の人間なので…。そこは少しだけ思いを馳せていただけると嬉しいです。

子どもたちの選択肢を広げる

〈石井さんは当時、大学でアメフトのコーチとして勤務していたがそちらを辞め、LINK UPに集中することに。法人設立の準備に奔走し、今年4月に発表に至った〉

とにかく淡路島中を駆け回りました。(島内にある)3つの自治体にご挨拶したかったので、それぞれの市長の秘書室に電話をかけてアポを取ったり。突然の話なのに、どの市長さんも丁寧に対応して活動を応援してくださり、ホームページにも各自治体名を掲載させていただけることになりました。

それは僕がすごいんじゃなく、近本がプロ入りしてから重ねてきた活動の実績があってこそです。彼が地元の方々から得てきた信頼はやはりすごいな、と感じました。僕はそれに乗っかって営業してるだけなんで。

ーーー今後の展開は

直近で言うと、8月末に淡路島や沖永良部島の5、6年生を対象にした「子ども夢応援プロジェクト」があります。甲子園球場での阪神巨人戦に招待するんですが、それだけではありません。空港やテレビ局などさまざまな企業さんにご協力いただいて職業見学・体験も予定しています。

近本が言っていたんですが、かつて京セラドーム大阪での阪神戦に招待した淡路島の子どもがドームの天井を見上げて「こんな大きなドーム、どうやったら出来るんやろう」と言ったことがすごく嬉しかったそうです。別に野球観戦に限らず、島の外にしかない社会を見ることが子どもの関心、ひいては将来の選択肢に繋がるかもしれないから、と。なので阪神の試合を楽しんでもらうだけでなく、こうした職業体験も組み込んでいます。

初となる今回は16人を招待しますが、今後は人数を増やしたり、対象を淡路島や沖永良部島以外の地域にも広げたりと、規模を大きくしていきたいと思います。将来的には、野球に関係ないプロジェクトが出てきても良い、というのが近本と僕の考えです。子どもたちの選択肢を増やせる活動を幅広くやっていきたいです。

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース