オリンパス株式会社(東京都新宿区)は、このほど「胃・大腸がん検診と内視鏡検査」に関する意識調査の結果を発表しました。同調査によると、胃がん検診において、約2人に1人が「胃内視鏡検査(胃カメラ)」を選択していることが分かりました。一方、大腸内視鏡検査では、検査前の準備について不安を感じる人が多いことも分かりました。
調査は、全国の40~60代の男女1万4100人(各都道府県男女性年代別各50人)を対象として、2024年3月にインターネットで実施されました。
日本では近年、1年間に約100万人(※)の人が新たにがんと診断され、男性では3人に2人、女性では2人に1人が生涯でがんに罹患し、2022年には約38万人(※)が、がんで亡くなっているといいます。
しかし、胃がん・大腸がんにおいては、早期に発見し、治療をすれば治る可能性がとても高く、治癒率は98%以上(※)となっています。そこで、「治癒率90%以上」と答えた割合を調べたところ、胃がんは29.5%、大腸がんは28.0%といずれも3割未満にとどまりました。
(※)国立研究開発法人国立がん研究センターがん情報サービスより
一方、「治癒率60%未満」と答えた人の割合は、胃がんは29.0%、大腸がんは30.5%となり、事実と乖離した認識を持つ人もみられ、早期発見・治療によるメリットは未だ多くの人に認識されていない実態が明らかになりました。
(※)全国がんセンター協議会/全がん協部位別臨床病期別5年相対生存率(2011~2013年診断症例)による
続けて、「胃がん・大腸がん検診受診率」を調べたところ、胃がん検診は37.4%、大腸がん検診は28.8%となりました。
検診受診/非受診者別に受診意識をみると、検診受診者は「自覚症状がなくとも決められた受診間隔で受けるべき」と回答した人がいずれの検診でも約7割(胃がん検診71.9%、大腸がん検診72.3%)だったのに対し、非受診者は約2割(胃がん検診18.4%、大腸がん検診20.1%)にとどまりました。
この結果から、自覚症状の無い段階で定期的にがん検診を受診することが重要であるとの認識がまだ浸透していない実態が分かりました。
また、胃がん検診を受けなかった5884人と大腸がん検診を受けなかった1万39人にその理由を尋ねたところ、いずれも「特に自覚症状もないから」(31.5%、26.1%)が最多となりました。
一般的に早期がんでは自覚症状が現れることは少ないと言われており、自覚症状がない段階で定期的にがん検診を受診することが重要とされています。検診は「自覚症状がない人」が受診対象ですが、本調査からその考え方そのものを理解していない人が多いことが明らかになりました。
なお、胃がん検診において、厚生労働省が指針で定める「胃部エックス線検査(バリウム検査)」と「胃内視鏡検査(胃カメラ)」の選択率を調べた結果、51.2%(人間ドックや職域検診を含む)の人が「胃内視鏡検査(胃カメラ)」を選択していました。
また、内視鏡での受診者は「この検査方法が良いと思って受けた」と回答した人が81.9%だったのに対し、エックス線での受診者では18.7%にとどまったことから、内視鏡の受診機会が限られているためにエックス線を受診している人も一定数いたことがうかがえました。
また、大腸内視鏡検査では、病変の見落としを避けるため、下剤によって大腸内部をきれいにすることが大切だといわれています。そこで、「大腸内視鏡検査を受けるにあたって不安なこと」を尋ねたところ、「腸管洗浄剤(下剤)でトイレに何度も行くのが面倒」が最多となり、検査前の準備について不安を感じる人が多いことが分かりました。
ただし、その回数やつらさを軽減するためにできることもあるといい、同社は「『検査前の食事制限を守る』『医師に下剤の種類を相談する』等、医療機関の案内に沿って基本的な準備をするようにしましょう」とコメントしています。
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【出典】
▽オリンパス/胃・大腸がん検診と内視鏡検査に関する意識調査白書2024
https://www.olympus.co.jp/csr/social/survey/2024/