福岡県の薬剤師、中野昇さんが運営するユーチューブチャンネル「薬剤師ナカショウ」。患者が薬局で感じる疑問を、コミカルなキャラクターでテンポよく解説します。例えば、半錠の薬や軟膏の作り方や、なぜ少ない薬なのに出てくるまでに時間がかかるのかーーなど。
中でもSNS上でたびたび注目されるショート動画が「薬局で薬剤師が症状聞いてくる理由」です。
動画の冒頭、薬剤師の中野さんは患者さんに対し、薬を一つ一つ示しながら、「風邪の症状で?」「胸焼けの症状があって?」などと症状を尋ねます。患者さんはわずらわしそうに「さっき先生に話したから大丈夫です。なんで症状とか聞いてくるんですか?」。
中野さんによると、薬剤師が症状を聞く理由は主に2つあるといいます。
1つ目は処方に間違いがないかどうかのチェック。
「処方せんには症状の記載がないので、患者さんから聞かないと、処方ミスがあった場合、気がつくことができないんです。例えば同じ薬でも症状によって量が変わるので、問題がないか確認しています」(中野さん)
2つ目は副作用が出ていないかの確認。
「薬による副作用は患者さんが想像していないものも多いので、状態を聞いて確認しています。例えば血圧の薬で歯茎が腫れる副作用とかもあるんです」(中野さん)
中野さんの説明を聞いた患者さんは、「処方が間違っていることがあるんですね。面倒くさがらずに話しますね」と納得し、動画は終わります。
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ここで気になるのが、処方ミス。実際に病院による間違いはあるのでしょうか。
中野さんはまいどなニュースの取材に対し、「軽微な処方ミスは普通によくあります。医師の処方ミスは薬剤師からすると普通のことですが、一般の方の認識として、医師が間違ってることが普通にあるという前提はないと思います」とし、「ミスがある場合や疑わしい場合は、病院に連絡して確認してから出します。疑義照会という業務です」と薬剤師の重要な業務の一つであることを教えてくれました。
動画のコメント欄には「薬剤師ですが実際に間違った薬が出ていたことあります」「誤った処方を薬剤師さんが気付いてくれました」「薬局で病院と同じことを聞かれて正直めんどくさいと思ってましたが、この動画で理解できました」などの反応が寄せられています。
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この動画は108万回再生され、1300件を超えるコメントが集まっています。
「コメントで多かったのがまわりに聞かれないようにしてほしい、大きい声で聞いて欲しくないといった、プライバシーを気にする患者さんの声が多かったように思います」(中野さん)
中野さんのホームページ「薬剤師ナカショウの頭の中」https://nakasho-molth.com