「青汁王子」で知られるインフルエンサーで、実業家の三崎優太さん(35)が、新たにEVバイク事業に取り組んでいる。2019年の脱税事件後、人気Youtuberとなった三崎さんには連日、さまざまな相談が寄せられる。「3カ月分、給料が未払いなんです」。バイク会社の社員から相談があったのは、今年4月。その数日後、自身はバイク事故に遭い、まさかの展開に―。(独占インタビュー4/4回目)
2019年2月に法人税法違反などの疑いで逮捕され、執行猶予4年の有罪判決を受けた三崎さん。その後、自身の転落劇を語った動画を次々に投稿し、昨年9月に執行猶予が終わる頃には人気Youtuberとなっていた。「逆風が強かったんですけど、応援してくれる人も増えて、事件のことは過去だと思えるようになったんです。嬉しかった半面、これから何をしよう、と。燃え尽き症候群になって」と振り返る。
青汁王子を辞めたい(笑)
「EVバイクメーカーで働いているんですが、3カ月お給料が出ていなくて…弊社に投資してほしいくらいです」―。バイクメーカー「aidea」の社員から連絡が入ったのは、そんな時だった。バイクが趣味の三崎さんだが、バイク事業は莫大なお金が掛かり、簡単に成功する世界ではない。正直、関わることに消極的だった。
その数日後、三崎さんはバイク事故に遭った。4月のある夜、千葉県の田舎道を走っていると、ヘッドライトを点滅させた後続車が猛スピードで迫って来た。動揺した三崎さんは距離を取ろうとスピードを上げ、ガードレールに衝突した。7~8針縫った左腕には今も傷跡が残り、完治するかは分からない。
「正直、死んでいたかもしれない。そう考えた時に、お金って意味ないと思ったんです。それだったら、そのお金で夢を買った方がいいんじゃないかって」
Aideaの社長と話し合い、三崎さんが従業員の給料未払いを支払う代わりに、EVバイク事業を譲ってもらうことに。「楽しいことだけして生きていけばいいかなとも考えていたんですけど…。青汁王子っていつまでやるのかな、とも思ったんです。もう青汁売ってないし、辞めたいなって(笑)」
次のステップに進むためには、「HONDA」「YAMAHA」「KAWASAKI」「SUZUKI」などに続く二輪バイク「MISAKI」を作りたいと思った。「成功した暁には、青汁王子から脱出できるし」
お金で手に入らなかったものとは…
バイクメーカーとの縁は、執行猶予の4年間で築き上げてきた集大成だったと実感しているという。「いろんな人から連絡をいただける環境だったからこそ。脱税事件がなく起業家として生きていたら、今より資産があったと思う。でも事件がなかったら、これだけの人に知っていただけていない。大きな武器だし、とても素敵なことです」
お金に翻弄されてきた三崎さんに、お金で手に入らなかったものを尋ねてみた。すると、少し考えた後、こう答えた。「夢だったと思うんです」
青汁を売っていた時は、欲望のためにやっていた。しかし、この4年間は過去を打ち破るために動画配信を続け、運命に導かれてバイク事業に参入した。「MISAKIという電動バイクで世界の移動を豊にしたいと心から思っていて。初めて人のためにと思えて、夢を持てたんです。それは事故のおかげだし、一生、腕の傷と一緒に生きて行こうと思います」
◇
三崎優太(みさき・ゆうた)1989年3月29日生まれ、北海道出身。18歳で起業し、株式会社メディアハーツを設立。17年に「すっきりフルーツ青汁」が累計1億300万本を販売し、年商130億円を突破した。19年2月に法人税法違反などの疑いで逮捕され、懲役2年執行猶予4年の有罪判決を受けた。現在はインフルエンサーとしても活躍する。