「妻の不妊」を理由に離婚できますか? 子どもを待ち望んでいたのに…慰謝料も請求したいです【弁護士が解説】

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妻の不妊を理由に離婚を考える夫がいます。子どもができないことや妊活に積極的ではないことを理由に離婚できるのでしょうか。また、子どもを待ち望んでいたのに、つらい思いをしたことから、慰謝料の請求も考えているようです。そのようなことは可能でしょうか。弁護士が解説します。あわせて離婚以外の道がないのかも考えてみましょう。

妻の不妊が理由で離婚したい…

結婚して子どもを待ち望んでいた夫にとって、妻が不妊だとわかったとき、ショックを受けるのも当然でしょう。「子どもが生まれることを前提に結婚したのに」と裏切られたような気分になる人や結婚を後悔する人もいるかもしれません。また、両親から「子どもができない嫁とは別れなさい」と迫られることもあります。

不妊を理由に妻と離婚することはできるのでしょうか。また、不妊症で子どもを産めないことや、不妊治療などを含む妊活に積極的ではなかったことを理由に、慰謝料の請求はできるのでしょうか。不妊と離婚をめぐる問題について解説します。

妻の不妊を理由に離婚できる?

妻の不妊を理由に離婚できるケースとはどのような場合でしょうか。離婚できるケースを、離婚までの手続きとともに紹介します。

▽妻と合意できれば離婚も可能

離婚は基本的に、夫婦の双方が合意すれば可能です。話し合いでは、財産分与や親権、養育費、慰謝料などの条件などについても話し合われます。このように、話し合いで離婚することを協議離婚といいます。離婚で最も多いのが協議離婚で、離婚の理由を問われることもありません。

ただ、妻が「離婚はしたくない。子どもがいなくても別れたくない」などと言った場合は、すぐには離婚できません。また、離婚には応じるものの、財産分与などの条件をめぐって話し合いがつかないこともあります。そのときは離婚を求めて話し合いを続けるか、法的な手続きに基づいて離婚を求めていくしかありません。

▽離婚の合意を得られないときは調停という手も

妻が離婚に反対したり、離婚には同意してもらえても条件で折り合えなかったりした場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることができます。調停とは裁判所の調停委員を介した話し合いで、調停委員が双方の意見を聞き、言い分を整理して合意を目指します。しかし、合意できる見込みがないときは調停不調として打ち切られてしまいます。

調停が打ち切られると、再び妻との間で協議離婚を目指して話し合うか、離婚裁判を起こして裁判所に離婚を求めることになります。裁判で認められれば、相手の合意がなくても離婚が可能です。ただし、離婚裁判を起こすには離婚調停を行うことが前提で、離婚調停を行わずに裁判はできません。

▽事情によっては離婚できることも

離婚裁判では証拠に基づいて離婚を認めるべきかどうかが審理されますが、民法で定められた「離婚事由」があり、夫婦関係の修復が困難だと裁判所が判断すれば、離婚が認められます。離婚事由とは、次の5つの事情です。

・配偶者が浮気や不倫(不貞行為)をした
・一方的な別居や生活費の未払いなど配偶者の悪意で遺棄された(悪意の遺棄)
・配偶者の生死が不明で3年以上経つ
・配偶者が重症の精神病で治る見込みがない
・婚姻を継続しがたい重大な事由がある

ただ、「妻の不妊で子どもができない」「妻が妊活に非協力的だ」という理由は、離婚事由には含まれません。おそらく裁判で離婚の理由があるとは認められないでしょう。裁判で離婚が認められるには、不妊以外の事情や理由が必要になります。

たとえば、夫が不妊治療を勧めたり、妊活への協力を求めたりすると、逆上して暴力を振るうといったケースであれば、暴力を理由に離婚が認められる可能性があります。いずれにしても、婚姻関係が破綻して回復の見込みがない認められなければ、離婚は認められません。

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