「妻の不妊」を理由に離婚できますか? 子どもを待ち望んでいたのに…慰謝料も請求したいです【弁護士が解説】

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妻の不妊を理由に慰謝料請求は可能?

妻の不妊や妊活に非協力的なことなどを理由に、妻に慰謝料を請求することは可能なのでしょうか。妻に慰謝料請求が可能なケースや慰謝料請求を検討する場合のポイントについて解説します。

▽妻の不妊を理由に慰謝料の請求は難しい

子どもの誕生を心待ちにしていた夫にとって、妻の不妊は妻の裏切りにも感じられることがあるでしょう。両親から「子どもを産めない嫁とは別れなさい」と迫られて精神的に追い込まれ、被害者意識を持ってしまうこともあります。しかし「妻の不妊で子どもができない」「妻が不妊治療に非協力的で、子どもが望めない」という理由では、基本的に慰謝料請求はできません。

慰謝料の請求が認められるのは、法律に違反するひどい行為で精神的な苦痛を負ったときです。単に「子どもができなくてつらい」というだけでは認められません。そもそも、妻が不妊症だとしても、妻本人の責任ではありませんし、不妊治療をうけるかどうかは本人の自由です。妻に落ち度があるとは言えません。

もちろん、不妊治療を拒否して、夫に暴力を振るったり、一方的に家を出て行ったりしたときは、慰謝料を請求できる可能性があります。また、不妊治療に非協力的な理由が、浮気や不倫だった場合も、当然ながら慰謝料を請求できる可能性が高いでしょう。

▽妻に不妊の原因があった場合は請求が可能?

妻に不妊の原因があると明確になったとしても、妻には責任はなく、慰謝料の請求は認められません。ただし、結婚前から不妊症であることがわかっていて、夫が子どもを望んでいることを知りながら、不妊の事実を隠して結婚していた場合は、「だまして結婚した」という夫の訴えが認められ、慰謝料の支払いを命じられる可能性があります。

一方、妻が不妊だからといって、出産が望めそうな女性と浮気や不倫をする男性もいますが、妻が不妊であっても「不貞行為」を正当化することはできません。この場合は、おそらく妻からの慰謝料請求が認められるでしょう。

▽妊活に非協力的な妻への慰謝料請求は?

不妊治療をはじめ、排卵日に合わせて性行為をするなど、妊娠しやすい環境を整えることを妊活と呼びますが、妊活に非協力的なことを理由に慰謝料請求を考える人もいます。しかし、妊活に取り組むかどうかは妻の自由ですから、不法行為とはいえず、慰謝料請求はできません。

しかし、妊活を求める夫に暴力を振るったり、暴言を吐いたり、長期間セックスを拒否したりした場合は、不法行為と認められて慰謝料請求が認められるかもしれません。一方、夫が妊活を強要したり、暴力を振るったりすると、逆に慰謝料を請求される恐れがあります。

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