まさか配達員がストーカーに!?…1人暮らし女性がデリバリーを利用する際に注意するべきこと 防犯対策専門家「対人を避けるのが一番」

長澤 芳子 長澤 芳子

最近は通販サイトやフードデリバリーサービスが広く普及したので、家にいながら買い物することは珍しいことではありません。しかし女性の1人暮らしの場合、配達員に顔を見られたり、住所を特定されてしまうこともあるため、手放しに利用するのも危険かもしれません。

実際に起こった出来事として「デリバリーサービスの配達員が『差し入れ』といって個人的に来訪してきた」「携帯電話の番号からショートメッセージが送られてきた」といった事例が。現代において通販などのサービスを利用しない方が難しい時代なので、こういったストーカーに近い被害が起こることは前もって防ぎたいですよね。

そこで「通販やデリバリーサービスをキッカケとしたストーカー被害」の対処方法や防犯対策を教えてもらうために、防犯対策専門家の京師美佳氏に話を伺いました。

対面を避けるのがベター

――最近では通販サイトやアプリを介したデリバリーサービスの利用が広く普及していますが、その中で配達員によるストーカー被害が発生しており、身近なことだけに怖さを感じました。こういった被害を防ぐために、どのようなことを意識すればいいでしょうか?

「このような事案を怖いと思う人は部屋番号まで知らせないことです。私もしていますが、たとえばマンションであれば、1階の玄関前やロビーで商品を受け取りましょう。マンションや戸建て自体知られたくない場合は家の隣や傍にあるコンビニ、店舗などの場所を指定して受け取るのが良いです。私の友人だと、公園で受け取る人もいました。

ただ、宅配便なども強盗の場合もありますし、顔を見せて好みだったからとストーカーになった配達員もいたので、可能であれば「対面しない方法」が一番良いです。

在宅でも宅配ボックスを使う方が強盗対策にもなって安全です。私の場合、まだ防犯に関係のない会社員だった20代の時に、新聞配達員の人に気に入られてから一年半もの間、毎日帰宅時にインターホンを鳴らされて、わいせつな言葉を言われました。

引っ越しをすることになった時、清算するために連絡してきた人の声が毎日インターホンで聞いていた声だと気づき、そこで初めて犯人がわかりました。

昔から配達員に狙われるような事案は多くあります。今はウーバーなど様々な物を配達していただける時代になったので、女性は特に注意が必要です」

早めに「警察相談専用電話」を利用するのがオススメ

――家が特定されてしまうのはとても怖いことだと思います。もし配達員にストーカー被害を受けた場合、迅速に警察に相談するべきかと思いますが、やはり実害がないと動かないという印象が強いので不安な面もあります。警察の相談以外でも、やっておくべきことはあるでしょうか?

「ストーカー被害を受けたと感じた時点で被害は出ています。付きまといや待ち伏せなど無視しても、『プレゼントしてくる』『連絡をしてくる』といったものはすべて被害に該当します。

『本当に誰かわからないけど、何だか不安』『自宅前に見知らぬ人が立っている」などの些細な不安がある時でも、最寄りの警察署に相談することをお勧めします。

敷居が高ければ、まずは『#9110』の警察相談専用電話でお話してみてください。これはとても大切なことで、もし配達員から被害があった際に相談しておけば、万が一の場合に速やかに動いていただけます。相談履歴を残すことがとても大切です。

また、被害が酷くなってからでは間に合いません。通常捜査であれば3カ月以上はかかります。不幸な事件など発生する際の大体は自分で手に負えない状態で相談しています。『脅迫されている』『付きまとわれて恐怖を感じる』など起きてから相談に行くと、そこからの捜査になって証拠を揃えている段階で最悪な状況に発展することもあります。不安に思った時点で相談に行くのがベターですね。

早い段階で伝えておけば、警告なども早くにしてもらえます。さらに重点警備のお願いをすれば、交番や警察署の人がパトロールする際に『自分の家の周りを誰かいないか?』など重点的に見回って、異状なければ『異状なし』と署名いりのパトロールカードを残してくれて、それを見るだけでも安心できます」

防犯グッズは常備するべき?

――最悪の事態を想定すると、警告音が鳴るブザーといった「防犯グッズ」は持っておいた方がいいのでしょうか?

「何もない時からでも防犯ブザーを玄関に置いておくなど、防犯グッズについては備えておく方が良いでしょう。侵入されないためには、犯罪者が嫌がる四原則(音、光、時間、人の目)を意識してグッズを設置すると効果的な対策ができます。

音は窓アラームや防犯ブザー、光はセンサーライト、時間は補助錠や防犯フィルム、人の目はご近所付き合いや防犯カメラ、インターホンのカメラなどが挙げられます。購入する際の目安として覚えておくといいでしょう」

まずは「置き配」「コンビニ受け取り」から始めよう!

ちょっとした注文からストーカーや強盗につながり兼ねない「通販やデリバリーサービスの利用」。もちろん、善良な配達員が担当してくれることの方が多いとは思いますが、やはり利用者も最悪の事態を想定することも大切です。

とはいっても「置き配」「コンビニ受け取り」を利用すれば、多少なりともリスクを回避できるので、対策で始める行動として難しいことではないはず。今回の京師さんのアドバイスを参考に、今できることから始めてみてはいかがでしょうか。

◆京師美佳(きょうし・みか) 防犯アドバイザー、犯罪予知アナリストとして、情報番組やNEWS番組などメディアなど多数出演。セキュリティ全般の知識を活かして講演や啓蒙活動もおこなう。2005年京師美佳セキュア・アーキテクト設立。2009年(社)全国住宅等防犯設備技術適正評価監視機構理事就任。建物の防犯診断、プロデュースなど幅広く活動をおこなう。「60歳から絶対やるべき防犯の基本」など著作多数。Yahoo!ニュース公式コメンテーター

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