不審者をバッターンと一撃で倒す女性…防犯グッズの衝撃動画に「えっナニコレ!」「各現場に支給して欲しい」

谷町 邦子 谷町 邦子

女性が拘束ベルトのようなものを装着したさすまたで、武器を持った男性を倒す動画がTwitterで話題に。躊躇ない女性の攻撃に、刃物らしきものを持った男性が、太いベルトが巻き付いて動けず、バッターンと勢いよく倒れます。

不審者役の男性はメーカーの社長、撃退役は女性社員だといいます。投稿したのは栃木県で防犯製品、抗菌銅の生活雑貨、自動車部品などを製造する有限会社「佐野機工」(以下、佐野機工)。さすまたに装着して使用する黒いベルト状の「ケルベロス」という”進化系”防犯製品について話を聞きました。

武器を持った相手を瞬時に拘束する「ケルベロス」に、「えっナニコレ!スゴすぎる」「刺股の進化?版」「相手に巻き付いて拘束できるのはすごいアイデアだと思う! 手足拘束したらほぼ無力化できそうだし」など驚きの声が多数寄せられていました。また、「一人暮らし不安だからこれほしい」「自宅に一つ欲しいかも。木刀あるけど、室内で振り回すわけにはいかない」という人、「病院の防犯対策にも良さそう」「おぉ!!これは学校においてほしい。さすまたより良いのでは?」と職場にほしいという人もたくさんいました。

「ケルベロス」を相手に押し付けるとバネの力で瞬時に巻き付き、同時に離脱するので、従来のさすまたのように抑え込み続ける必要がなく、「現役警備士から見ると各現場に支給して欲しいですな。使い方が簡単だし対象に器具を装着した後の自由性が高いのが素晴らしい。既存の刺股だと使い方、場所に限りがあるのでねぇ」と警備のプロからのコメントもありました。

悪用リスクを減らすために個人へは販売しない、法人でも断る場合も

多くの「欲しい」という声があった「ケルベロス」ですが、「佐野機工」によると、個人への販売はしておらず、購入可能なのは警察や公共施設、学校、病院、ショッピングモール、警備会社など法人のみとのことです。

ほかにも小型・軽量さすまた 「弁慶(べんけい)」、不審者の手足に押し当てると瞬時に拘束する「不動(ふどう)」、手首や足首を拘束する「オロチ」などを開発している同社。それらの進化系防犯製品の開発経緯、また「社長さんをキャスティングされたのが非常に"わかってる"演出だな〜と感心」「社長撃退」と話題になったことからも、動画の配役について聞きました。

――個人には販売されないのはなぜですか。

「製品の特性上、悪用・盗難・転売を防ぐために法人のみへの販売としています。多くの方にご活用いただきたい思いはありますが、できる限り悪用リスクを減らすために個人への販売は行っていません。法人であっても、使用用途や設置場所などによっては販売をお断りする場合もございます」

――社長を倒される不審者、女性社員を倒す役にした理由は?

「誰にでも簡単に使える。使用者と不審者に体格差があっても効果がある。こういったことをお伝えできるよう、使用者役には弊社の女性社員に、不審者役は社長にお願いしました」

――スムーズに取り押さえているように見えますが、社内では頻繁に防犯訓練をするのですか。

「一般的な防災・防犯訓練は行いますが、いわゆる護身術や防犯製品の使いかたの訓練などは行っていません。動画に出ている社員も、護身術や訓練なども行っていない普通の女性です。

誰でも簡単に使える製品を目指しているので、製品の使い勝手をテストする際などは、あえて防犯製品をまったく使ったことのない社員や、運動が得意でない社員、小柄で腕力が弱い社員などに使ってもらい、操作方法や使用感をチェックすることも多いです」

――「佐野機工」ではオリジナルのさすまたも製作されていますが、ケルベロスなど進化系防犯製品を作るようになったきっかけは?

「2011年に警察からの相談を受け、防犯の現場での声を取り入れながら、一般的に普及しているさすまたの弱点を払拭できる製品を開発することなったのがきっかけです。防犯製品の開発着手当初は、トライ&エラーの連続で非常に難しかったです」

――「ケルベロス」や 「弁慶」、「不動」、「オロチ」のほかに販売している進化系防犯製品は? 

「その他に、不動を薙刀形状にした『剱技(つるぎ)』や、盾タイプの防犯製品『KONG(コング)』などもあります。これまでに開発した防犯製品のさらなるブラッシュアップや、新たな防犯製品の開発にも日々努めています」

――防犯製品を製造する企業として伝えたいことは。

「不審者に遭遇した場合は、まず安全に避難することを最優先にしてください。佐野機工の防犯製品は闘うための武器ではなく、不審者の自由を奪って隙をつくり、その間に安全に避難することを目的として開発しています。今回の動画は製品の紹介のために不審者1人に対し、使用者1人という構図が多くなっていますが、不審者への対処は『不審者1人に対して複数人で対処すること』が重要です。

私たちの思いは『できるだけ怪我をすることなく、安全に避難してほしい』ということだけです。できるだけ怪我をすることなく安全に避難するための手段として防犯製品をお使いいただけるように、どうか日頃から防犯訓練を行っていただきたいです」

◇  ◇

いかついネーミングですが、腕力や運動神経、護身術の心得がなくても使用できるようにと開発された「佐野機工」の防犯製品。とはいえ、日常に防犯製品を使う機会はないので、他のメーカーのものと同様、「いざ」という事態が発生する前に効果的な使い方をマスターしておく必要があるようです。

■有限会社 佐野機工の公式ホームページ  https://www.sanokiko.co.jp/
■佐野機工 | 栃木県真岡市の「ものづくり」の会社(@sano_kiko)のTwitter https://twitter.com/sano_kiko

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